左から) 株式会社三越伊勢丹ホールディングス 代表取締役社長執行役員 大西洋
バカラ パシフィック株式会社 代表取締役社長 小川博、原由美子
宮前義之 (ISSEY MIYAKE)、黒河内真衣子(mame)、山縣良和 (writtenafterwards)、坂部三樹郎 (mikio sakabe)

2014年11月4日(火)、日本橋三井ホールにて「2014年 毎日ファッション大賞」第32回表彰式が行われた。

「毎日ファッション大賞」は1983年に、毎日新聞社が創刊110年を記念し、日本のファッションの歩むべき方向性を模索する上で、何らかの寄与を果たしたいという願いを込めて創設したもの。過年度受賞者には、高田賢三、川久保玲、山本耀司、三宅一生といった世界に誇る才能あふれるデザイナーたちが名を連ねている。

今年度は大賞をイッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)のデザイナー宮前義之が受賞したほか、新人賞・資生堂激励賞にマメ(mame)のデザイナー黒河内真衣子が選ばれた。また特別賞は「絶命展～ファッションの秘境～」をプロデュースしたリトゥンアフターワーズ(writtenafterwards)の山縣良和、ミキオサカベ(MIKIO SAKABE)の坂部三樹郎の2人に贈られ、鯨岡阿美子賞はファッションディレクター・スタイリストの原由美子が受賞した。

この日は各賞受賞者の表彰の後、新人賞・資生堂激励賞に輝いた黒河内真衣子によるマメ(mame)の2015年春夏コレクションのショーが発表された。これまで展示会形式で毎シーズンのコレクションを発表し、ルックブックを中心にブランドの世界観を伝えてきたマメ。今回の発表は、ブランド初となるランウェイショーだ。

発表では、ルックブックの撮影が行われた静岡県で収録した映像を用いてコレクションを披露した。デザイナーの黒河内が宮本輝の『錦繍』を読みながら、九州やウズベキスタンを旅し、そこで感じたものがインスピレーションとなったコレクション。「passing」と名付けられ、過ぎていく時間を前向きにとらえようとする、デザイナーの想いが映し出されている。

初のランウェイショーでは、洋服はもちろんアクセサリーも用いてスタイリング。実際にモデルが着用し、その姿を見せることでマメのワードローブの着こなし方がよりリアルに提案されるものとなった。またこれまでルックブックでは一人のモデルを起用していたが、ショーでは15名のモデルが登場。「モデルの選び方もイメージ先行ではなく、ランウェイで歩いたときにより服が綺麗に見えるように、あえてブロンドのモデルを選びました」と黒河内が語るとおり、いつものマメとは少し異なったオーセンティックな魅力が表現された。

受賞者のコメント

イッセイミヤケ 2014-15年秋冬コレクション より

このような大変栄誉あるショーをいただくことができ、とても嬉しく思っております。私がイッセイ ミヤケのデザイナーになってちょうど3年になります。最初は手探りの中、試行錯誤し、一生さんから与えられたこのチャンスを含め、特別な使命を感じなが ら、チームで力を合わせて、今日ここまでやってくることができました。“本当に新しい物づくり”というのはやはり本当に大変ですが、その中で日々研究した り、新しいことにチャレンジしたりできるという環境を、改めて幸せに感じています。

イッセイ ミヤケ デザイナー 宮前義之

mame 2014-15年秋冬コレクション より

こ の賞は、私だけでなくブランドを作って下さっている工場さん、パタンナー、生地屋さん、友人、家族、そしてマメをいつも支えて下さっている私の社員たち皆 のおかげで受賞できた賞だと思っています。ファッションデザイナーになることは、私の幼少期の夢でした。長野の山奥で、広告の裏紙にデザイン画を書くよう な子供だったのですが、そういう自分からしたら、ブランドを始めたことは大きな一歩だったと思います。そしてこの賞の受賞で私はまた一つ、夢を叶えること ができました。“マメ”という名前は私の親友がつけてくれた私自身のニックネームなんですけれども、日本語には「まめまめしい」といった言葉があります。 これからも、マメというブランドを大切にしながら、まめな物づくりをしていきたいと思っております。

マメ デザイナー 黒河内真衣子

2013年12月に行われた「絶命展 -新美編」

「絶 命展」のきっかけは、ずっと長い間ファッションを語るとき、いつもアートの文脈で語られることが多かったのですが、僕たちはファッションを軸にした展覧会 というものをやろうと思ったことです。特に今回パルコミュージアムで行った際は、アートとは違う良さを提案しました。ファッションって他のどのクリエー ション部門よりも何より強いところは“新鮮さ”で、他の分野にはあまりないと考えています。その時代で代わっていく新鮮さは、ファッションにおいて何より も大事だと僕たちは思いました。今回の展示では、その時代を生きている人にモデルとして立ってもらい、毎日流動的に変わっていく姿を提案しようと思い、今 回の展示をやらせていただきました。

「絶命展～ファッションの秘境～」プロデュース
ミキオサカベ デザイナー 坂部三樹郎

2006 年から東京に住み始めて、リトゥンアフターワーズというブランドをやりながら、教育(ここのがっこう)だったり、 リトゥン バイ(written by)という新しいラインだったりいろんな活動をしてきました。それを通して「ファッションって何だろう」という日頃から感じていることを形にしたいな、 という思いが出てきて、今回パルコさんの提供があり展覧会を開くことができました。僕たちよりもっと若い20代前半の子たちと一緒に本当にハラハラドキド キしながら創り上げていきました。

「絶命展～ファッションの秘境～」プロデュース
リトゥンアフターワーズ 山縣良和

【受賞者一覧】
■第32回毎日ファッション大賞
年間(2013年6月～2014年5月)を通じてファッションという文化活動の中で優れた人、企業、団体を表彰。

・大賞     宮前義之(ISSEY MIYAKE)
・新人賞・資生堂奨励賞     黒河内真衣子(mame)
・鯨岡阿美子賞     原由美子(ファッションディレクター、スタイリスト)
・話題賞 バカラ パシフィック株式会社
・話題賞 三越伊勢丹「三越新ショッピングバッグ『実り』」
・特別賞 山縣良和(writtenafterwards)と坂部三樹郎(mikio sakabe)プロデュースの「絶命展～ファッションの秘境」