ディースクエアード(DSQUARED2)の発表した2015-16年秋冬メンズコレクションには、これまでブランドが発表してきた中でも、とりわけアイコニックなアイテムが多く登場した。デニム、レザーの素材使いに、バイカーやロックのエッセンス、エッジの効いたドレススタイル。デザイナーの故郷・カナダのイメージを残しつつも、イタリアブランドとしてイタリア製にこだわってきたディースクエアード。その彼らにより生み出されてきたスタイルが、まるでこれまでのハイライトであるかのように、惜しげもなく披露される。
序盤はイタリア的なロックスタイルが続いた。スキニーなレザーのライダースやパンツに、丁寧かつハードに加工されたデニム、ネイティブ感のあるスタッズ使い。そうした中に、ファーによるとびきりのボリューム感が、リュクスかつ強いインパクトを差し込む。
続いたのが、チェック柄を多用した比較的カジュアルなスタイルだ。木こりからインスパイアされたという赤と黒のチェックは、ジャケット、シャツやベストにオン。さらにダウンベストやマウンテンブーツなど、アウトドアな要素を混ぜ込むことで、肩と力の抜けたリラクシングで機能的なムードも取り入れている。また、もともとはマドンナのステージ衣装に制作された、泥はね加工のデニムやブーツ、ベストなども登場 。こうしたスタイルにもファーを要所に取り入れることで、程よいゴージャス感を演出した。
そして終盤、おなじみネオンピンクのコート・ジャケットのスタイルが通り過ぎると、もうひとつのディースクエアードらしさ、すなわちドレッシーなイブニングスタイルが登場し始める。今回そのシャープなスタイルのアクセントになるのは、フォークロア調の大胆な刺繍だ。ジャケットのラペルやコットンベスト、パンツのフロント部分へと施されていき、ショーはいつしか、フィナーレである多種多様なタキシードの行進へ。デザイナーの二人がモデルたちを先導する中、そのジャケットにはベルベット、カモフラージュ、ラメなど意外性のあるカラーと素材が入り乱れていた。