ミラノファッションウィークの最終日である、2015年3月2日(月)。ジョルジオ アルマーニ(Giorgio Armani)の2015-16年秋冬コレクションが発表された。
カーテンに日の光が入ったときのようなゆらゆらとした明かり。そんな光景を想起させるようなパンツから、ショーはスタートした。この模様は、筆跡からインスピレーションを得たもの。色の流れを1枚の絵にしたようにな美しさで、パウダーブルーや翡翠グリーンが溶けるように混ざり合う。このスモーキーな中間色を基調に、引き締めのブラックをプラスしたパレットでショーは構成された。
今季はサルエルやタック、センタープリーツなどの加工を施したものや、裾にカッティングをしらったものなど、幅広いパンツがラインナップ。
その中で、スカートとパンツをドッキングしたアイテムに惹かれた。前から見ると、チューリップ形のように素材が交差している。しかしバックスタイルは、ヒップラインまでは丸みがあるが、膝下からはジャストフィット。ストレッチ素材のレーヨンジャージを採用することで、身体にフィットしつつもボリュームを持たせた絶妙なシルエットが生まれた。
ジャケットからは、繊細なデザインが伺えた。石畳のような四角いピースや、中央に向かって配した切り込みなど。また意外性のある素材の合わせ方も特徴だ。例えば、ニットとレザーの組み合わせ。一見、ニットに見えるジャケットは、実はリブ加工を施したレザーを採り入れている。袖にニットをあしらうことで、観るものを混同させる仕掛けが面白い。
今年40周年を迎えるブランドは、原点を振り返ったのだろうか。ファブリックやシルエットに新たなアプローチを加え、ジャケットとパンツのスタイルを再提案しているよう。
空気を含ませることで、動きやシルエットに強弱をつけていたアイテムも多かった。例えば、服地と身体の間に空気を閉じ込めたようなパンツや、上から透け感のある素材を重ね合わせたドレスなど。日本人の視点から振り返ると、そういった絶妙な「間」は、奥ゆかしさを感じさせるのだった。