2015年3月11日(水)、ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)の2015-16年秋冬コレクションがパリで発表された。ブローニュの森に位置する、現代アートの複合施設フォンダシオン ルイ・ヴィトン。その中にあるビニールで覆われた球体の建物が会場となった。オレンジやグリーン、ブラウンなどでカラーブロックキングされたシート。会場内のそこかしこには、カメラが設置され、近未来的な空間が広がっている。
ビッグシルエットが続くとタイトなものが現れ、ファーの連続的な展開の後には、レースやレザーが登場する。ニコラ・ジェスキエールが就任して、1年が経た今季。伝統を大切にしつつも、未来に目を向け、よりオリジナリティ溢れるワードローブが展開された。あくまでも、日常に寄り添うように、ウェアラブルというポイントは押さえて。
彼のフューチャリスティックな考えを体現するのは、メタリック。これは、今シーズンを紐解く1つの鍵となるだろう。シルバーやゴールドといったパレットはもちろん、メタルパーツやラメ、スパンコール、ビーズなどがランウェイを飛び交う。
例えば、花のように広がるヘムラインと胸元のカッティングがポイントのニットトップスは、ビジューがあしらわれている。またショート丈ジャケットは、金糸でくらげの刺繍を施した。そのほか、光沢感のあるジャケットとパンツのセットアップやランジェリーライクなワンピース、スパンコールを全面にあしらったドレスなどが展開。ボディコンシャスなシルエット、ジップやレザーパーツの採用といった仕掛けを施すことで、洗練されたイメージを創り出していく。
また、ルイ・ヴィトンのアイコンたちをモダンに落とし込んだデザインも、今季の決め手だろう。モノグラム・フラワーは、エドワーディアンなシェイプのワンピースやレザーとファーを組み合わせたジャケットとなって登場。ダミエ・パターンも、レザーを襟や胸元にあしらったジャケットで採用された。ブランドロゴ、コレクション発表日の日付を入れたトップスは、二コラの強い決意すら感じさせる。
一方で、素材や小物作りにも目を向けているよう。レザーはより軽量になり、中綿入りのコートも揃う。化粧ケースのような「フラコン」、アーカーイブからインスパイアされた「ドラ」などの新作バッグが登場した。
デザイン、素材、アイテム。どの観点から見ても、古典をベースとしているがモダンだ。細部にわたって神経を巡らせ、二コラが新しい、斬新だと感じるものを寄せ集めたようなシーズンだった。