ケイタ マルヤマ(KEITA MARUYAMA)の2015-16年秋冬コレクション。2015年で21年目を迎えたブランドは、原点に振り返り、創立当時と同じ手法でコレクションに取り組んだそう。テーマは、フランス語で夜の香りを意味する「Parfum de nuit」。チャイナタウンの夜、赤い口紅、カクテル……。いくつか挙げられたキーワードをもとに、紙芝居のようにシーンを分けてショーは進められた。ここには、日常をもっと細かくカテゴライズし、それぞれの場面をちょっぴりファンタジーに仕上げるようなワードローブを提供したいという思いが込められている。
ランウェイの奥に広がるステージには、真っ赤なカーテンと“km”とイニシャルを象ったネオンが。キャバレーのような夜の香りが漂うなか、ベストにパンツ、フリンジ付のヒールシューズを合わせたモデルがパイプを持って登場。色気たっぷりに歩いた後は、ふっと観客の方を振り返り、バッグスタイルからセンシュアルな魅力を漂わせる。
続いて、スパンコール付きのチャイナドレスやラメ入りのツイードセットアップなど、夜景を想起させるような輝きのあるワードローブが展開。その後は3回に分け、つば広ハットやファーのクラッチバッグなどといった小物で遊んだ着こなし、ワンピースやケープにパッチワークのテクニックを取り入れたもの、トレンチコートやアンクル丈パンツなどで仕上げたクラシックスタイルを披露した。
フィナーレに近づくと、オリエンタルなムード一色に。“センシュアルだがセンシュアルじゃないもの”と丸山が呼ぶ、シースルー素材のドット柄パンツ、刺繍入りのニットコート、ボタニカルプリントのダウンベストなどが揃った。中でも、パンダ型のファーバッグやトラのクラッチバッグなど、アニマルモチーフの小物たちは観客の心をますますショーへと引き込んでいく。ラストは、床に引きずるほどロング丈のフリルドレスと花模様のベアトップドレスが登場。華やかな2ルックと共に、幕を閉じた。
ショー終了後、丸山は「とにかく楽しいショーにしたかった。(バックステージでは忙しくて、)死にそうになりましたけど、楽しかったです。」と満面の笑みでコメントした。と同時に、節目の年に東京でコレクションを発表できたことに感謝する姿勢も見せていた。原点に振り返った丸山の目からは、もっと新しいものが発信できるという自信にみなぎった姿が感じられた。