毎年インドネシアで開催されているファッションの祭典、ジャカルタ・ファッション・ウィーク。このイベントが、メルセデス・ベンツ・ファッション・ウィーク・東京期間中の2015年3月17日(火)、2回目となる日本上陸を果たした。会場となった渋谷ヒカリエでは、インドネシアの若手デザイナーを代表して、ETU、TOTONの2ブランドがランウェイショーを開催。2015-16年秋冬コレクションを発表した。
オープニングを飾ったのはETU。頭には、イスラム圏の女性が着用する布「ヒジャブ」を彷彿とさせるホワイトのスカーフを被り、インナーには同色のシャツ。そこにヌードカラーのパンプスやパンツ、ジャケットを合わせたスタイルを披露する。そこに見られるのは、インドネシアの伝統的なワークスタイルと、欧米的なデイリーウェアの融合。パンツやコートには、インドネシアの熱帯気候を想起させるかのような、軽さのある素材を(シーズンは秋冬)。アクセントとして、ワラのような手織りの素材を、ボウタイやストール、コートやジャケットの切り換えなどに採用した。テイストは一貫していながらも、遊び心を随所に織り交ぜたデザインは、新鮮な余韻を会場に残す。
そこに続いたのがTOTON。こちらはインドネシアのアートや伝統工芸品からインスパイアを受け、服作りを行っているという新鋭ブランドだ。アイデンティティとなっていたのは、伝統的な民族衣装を彷彿とさせるような、過剰なまでの装飾性。ビジューが敷きつめられたチョーカーやブレスレットに、ゴージャスなバックルが主張するベルトだけでなく、タイツやアームカバーも、バリエーション豊かな装飾が彩った。ドレスやスカートには、まるで陶器のような柄と光沢感を持ったテキスタイルが使われるなど、ウェアのアクセントにもまた、オリエンタルな要素が垣間見える。
インドネシアでは、現在モードファッションが急成長を遂げているという。そうした流れの中で、実現した日本でのショー。伝統や文化といったローカルな要素を、モードという世界共通の文脈の中に取り込もうとする。そんな気概が、参加した2ブランドからは共通して、確かに伝わってきた。