ロンドンファッションウィークにて発表されたメアリー カトランズ(Mary Katrantzou)の2011年秋冬コレクション。 1920年代、芸術家のパトロンでもありミューズでもあった女性、カサッティ侯爵夫人 がかつて語った言葉「I want to be a living work of art」からインスピレーションを受けたコレクション。同時期の社交界で活躍した永遠のファッションアイコン、ダイアナ・ヴリーランドの地獄の庭園のようにデコレートされたアパートメントの一室や、ベイブ・ペイリーやウォリス・シンプソンらの豪華なサロンにも想いを馳せた。時を経て尚その美しさを称える美術品と、それらのオーナーである伝説の女性達のラグジュアリーで洗練された世界が時空を超えて今季のカトランズのコレクションとして蘇った。
中国やマイセンの陶磁器からイメージしたカーブがドレスにドラマティックなボリュームを与え、コロマンデル屏風(中国の漆塗りの屏風), インペリアル・イースター・エッグ(ロシア・ロマノフ朝時代に誕生した美術工芸品のイースター・エッグ)からヒントを得たハイパーリアルプリントが、エネルギッシュに女性の体を包み込んでいる。オートクチュールにインスパイアされた美しいシェイプ、フェティッシュなタイトスカート、女神のようなフロアレングスのドレス、ウエストを絞ったセクシーなジャケット、シックなブラウス。ゴージャスな中に凛とした知性がスパイスとして加わって、カトランズの世界はより濃密にその魅力を増したようだ。