2011年4月22日、翡翠(HISUI)の秋冬コレクションが発表された。先シーズン同様インスタレーション形式を予定していだが、震災後デザイナー・伊藤弘子氏が抱いた「ファッションを通して日本を盛り上げていこう」という意思を表現するため、ショー形式に変更した。
今回のテーマは「natural dimension」。太陽、月、土、雲を象徴として人の多面性や自然への回帰がこめられている。前半に登場したグレーのツーピースやジャケットは膝上丈のレッグウォーマーも相まって乗馬スタイルだが、ブランド名が意味する「じゃじゃ馬娘」の遥か昔を想像しスタイリングされた。その他、オレンジのミニドレスやグラデーションのローゲージニットなど、中盤には色鮮やかなアイテムも多く登場した。
後半には、デザイナーらが舞台上でモデルにスタイリングし、ピースを変化させるという早替えの演出が行われ会場を湧かせた。ミニドレスへと変貌することで月の満ち欠けを表現したイエロードレスや3メートルにも及ぶ太陽を象徴としたニットなど、それぞれ印象的だが、中でも強いインパクトを与えていたのが最後のコレクションピース。同心円とともに原子力発電所の場所がプロットされた日本地図を掲げ、それをモデルに巻き付けることで、「危険にくるまれているけれども、なにか一人一人が一歩ずつできることがあるのではないか。」と訴えており、観客を圧倒させる演出であった。
終了後「好きな服を身につける事で勇気をもらい、言いたい事をいえるようになればいい。」と語っていたように、伊藤氏の強い思いが反映されたメッセージ性の高いコレクションとなった。