ディオール(Dior)が、フランス・パリで2016年春夏コレクションを発表した。
昨シーズンのディオールウーマンは「動物的でセクシー」。独特の強さや鋭さがろ過されたアニマルプリントは、自立した女性を象徴するアイコンとして、その存在を確立していた。テーマやモチーフが持つイメージや固定観念を噛み砕き、フェミニンに仕上げるのを得意とするラフ・シモンズ。今季ラフは、アンダーウェアを取り入れた、気品あるスタイリングを提案する。
コレクションの中心は、シルク、コットン、オーガンザなどのキャミソール、ドレス、ショートパンツ。そのデザインの起点となったのは、エドワード期などに貴族が着用した下着、ナイトウェアだ。素材によって厚みは異なるものの、どれも柔らかくしなやかな雰囲気を奏でている。少しのゆるさとセンシュアリティはそのままに、相反するものを組み合わせて、エレガントなスタイルを構築していく。
上から合わせたのは、裾にプリーツを配したテーラードジャケット、または、厚手のニット。メンズとウィメンズの要素を混合させたり、テクスチャーの対比を顕著にしたりして、ミックスアンドマッチを楽しんでいる。
全体的には無駄なものを削ぎ落としたシンプルなデザインが多いが、後半にかけては、ペールトーンで染め上げたり、グラフィカルなボーダー模様を描いたりして、華やかさが増してくる。ジャケット・ジレ・パンツの3ピーススーツやミリタリー風アウターなどが加えながらも、全体の印象はソフトで穏やかだ。