5351 プール・オム(5351 POUR LES HOMMES)が2016年春夏コレクションを、2015年10月13日(月)に発表した。
「ANTHOLOGY」。今シーズンのテーマとなったのは、主に複数の作家によってつくられた作品集を指す、この言葉だった。現在は4人でデザインを行っているという5351 プール・オム。デザイナーそれぞれのやりたいことや、思い描く物を、一度に表現できたなら…そんな想いが、この一言には込められているのだ。
骨太のギター音が鳴り響き、後から続くドラムのリズム。シンプルで、迫力のあるBGMでショーは始まる。まず最初に現れたのは、チェ・ゲバラを彷彿とさせるベレー帽をアクセントにした、ボタニカルなプリントのセットアップのコーディネート。このように序盤はグリーンを基調としたミリタリーテイストのルックが続き、時折ディテールにスタッズを打ち込んだり、ナイロン素材を使ったりすることで、随所に異なるテイストを混ぜ込んでいく。
そんな今シーズンは、全体的にリラックス感のあるコレクションだ。しかし、続くブラックに彩られたパートだけは、とりわけハードなイメージで包まれた。レザージャケットに始まり、背中にゴールドのスタッズが打ち込まれたレザーベストなど、無骨な印象がとりわけ異彩を放つ。そこから徐々にグレーへと色彩が薄まるにつれ、チェック柄のセットアップやエスニックなポンチョが登場し、後半へ向かう開放的なイメージへの助走を作っていった。
そして後半は春夏らしい、開放的なイメージがあらわになる。ベージュや薄いカーキ、終盤のホワイトといった軽やかなカラーに、パナマハットや薄手の素材の組み合わせ。幾何学模様、ボタニカル、ストライプなど、採用された柄も多様性に富んでいた。
ここまでショーをたどってきたが、今季のテーマ「ANTHOLOGY」のキーワードをあえて一言で表すなら、"テイストミックス"だと言える。ミリタリー、パンク、エスニック、モード、ストリート……デザイナーそれぞれが感じていた異なる”今の空気”を、ルールに囚われずに組み合わせ、カラーによってうまく統一感を持たせていく。それは4人それぞれが抱くイメージの集合であり、そして共鳴なのだ。