ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)の2012年春夏メンズ・コレクション。メンズ スタイル・ディレクターとしてキム・ジョーンズにとって第一弾となる今季のテーマは旅。旅はルイ・ヴィトンの歴史における最重要キーワードでもある。
インスピレーションの源は、イエール大学卒の冒険小説家でアーティストでもあるピーター・ビアード(Peter Beard)にある。彼の人生や、アフリカへの強い想いが、アフリカで育ったキム・ジョーンズの故郷への想いと重なった。そして出来上がったのは、アイビーリーグで学び、アフリカを旅し、夜の社交界でも活躍した、ひとりの男性の人生を物語るコレクションだ。
ラフなネクタイ姿が爽やかなプレッピースタイルでショーは幕を開けた。トリコロールカラーのLVロゴのアップリケが光るハリントンジャケット、ラグジュアリーニット、ラフなショートパンツ、そしてスーパーライトウェイトのウールのスーツ。レーザーカットのポケットがポイントのシルクのウィンドブレ―カーには、ラグジュアリーな天然素材とハイテク技術がクールに融合した。
マサイ族の伝統カラーが鮮やかなチェックや、オリーブやサンドベージュのサファリカラーのアイテムが登場すると、アフリカンな雰囲気が漂ってくる。ブルーとレッドのダミエのブランケットやスカーフを巻いて、足元はアリゲーターレザーやウッドのディテールがアクセントになったサンダル。レザーのストラップがポイントの大きなリュックや、キルトジャケットは探検家風。1991年に登場したノマド・ラインのバッグはリッチなカラーパレットでリバイバル。オリーブグリーン、バーガンディ、サンドベージュと大地を想像させるカラーが揃った。
最後は、ジェットセッターのナイトライフをイメージしたラグジュアリーな着こなしが印象的。パジャマ風のスーツやパンツ、ドレッシーなショールカラーのスーツもショートパンツで遊び心を。ミッドナイトブルーのフォーマルスーツの足元はフラットなサンダルというこなれたスタイリングに、ヴィトンの心意気が光る。
キム・ジョーンズが見せたかったのは、未知への挑戦を通じて成長する、人生という旅。フィナーレでは、ヴィトン クリエイティブディレクターのマーク・ジェイコブスと共に登場し、観客達と共にメンズディレクターとしての門出を祝福し合った。