ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)の2017-18年秋冬メンズコレクションが2017年1月19日(木)にフランス・パリで発表された。
会場はパリ市内にある駐車場。過去には線路の真下を走る長いトンネルとして利用されていた場所だ。コンクリート張りの壁面にはシミやヒビが入っていて、日常がしみ込んでいる。
今シーズンのドリス ヴァン ノッテンは、シンプルであるがどこか奥ゆかしさが感じられる。角ばったショルダーに大きいピークドラペルのデフォルメされたジャケット、カジュアルなデニムのストレートパンツ、そしてスクエアトゥのゴアブーツ……トラディショナルな男性的シルエットがボリュームを強調することで浮かび上がっていく。
一方で、肩を落とした滑らかなシルエットも存在する。ニットやプルオーバーは、だらんと垂れた袖、ドロップしたショルダーなどゆったりとした着心地で体を包み込んでいる。上質なウールコートは、洗いをかけたような無骨な素材をレイヤードさせて、中性的シルエットに力強さを残している。
視覚でも温もりを感じられるウール、フランネル、メルトンなどに加えて、対照的にスキーのユニフォームに用いられるようなテクニカル素材も採用された。なかには老舗のメーカーの協力のもと完成した逸品があり、拡大されたそれぞれのメーカーのロゴがライニングに縫い付けられ、あるいはスリーブや胸の上に装飾されてファブリックを讃えている。
色柄は牧歌的なイメージ。フェアアイル柄を拡大したような模様、赤いバッファローチェックなどがその典型と言えるだろう。ブランドらしい草木柄は今シーズンは控えめで、フィナーレにかけて徐々に登場した。スーツ、コート、スウェットの上には、花の刺繍が装飾されている。スパングルや深紅のクリスタルが、ダークトーンを背景に輝きを放つ。
あくまで控えめな装飾は、ブランドが培ってきたテーラリングの再定義、あるいはジェンダーレスが進む昨今において、メンズ服の歴史や起源、機能の概念を再考するため。これまでを見つめ直しながら完成させた洋服は、形式張らないスタイルでより日常を感じさせるものだ。