エルメス(HERMES)は、2017-18年秋冬ウィメンズコレクションをフランス・パリで発表した。
色彩が物語の主役を担うかのように、序盤から中盤、そしてラストにかけて変化するキーカラー。ナデージュ・ヴァンへ=シビュルスキーが就任当時から用いている、黒に限りなく近い青色ブルー・ノワールから始まる今季は、赤が交わり、落ち着きのあるアースカラーへバトンを繋ぐと、フィナーレに向けてはパープル・グリーンといった鮮やかなトーンが楽し気に弾けていく。
リズムを付けるように差し込まれたパターンは、メゾンの歴史に通じるもので、60~70年代のシルクスカーフより手のモチーフがピックアップされている。後半に登場した、シルクプリントの鍵模様、サイケデリックなペイズリー柄もまたアーカイブから選出されたものだ。
色柄だけでなく、洋服のデザイン・ディテールにもメゾンのコードはしっかりと刻まれた。特に、馬の世界はいきいきとファッションの世界へ舞い降りてきて、乗馬をする際に被るブランケットはコートへ、乗馬シャツのディテールはニットへ、カザックは襟付きブラウスへとモダンに姿を変えている。
デザインのポイントとしては、異素材のミックスが挙げられれる。ムートンにはテクニカル素材を合わせて、止水ファスナーを添えたアクティブなアウターへと変化させた。また、シルク地にはニットアームを滑らかに繋げてトップスへ。高いクラフツマンシップを感じさせる、洗練されたデザインが完成している。