アニメーション映画監督・新海誠の展覧会『新海誠展「ほしのこえ」から「君の名は。」まで』が、阪急うめだ本店の阪急うめだギャラリーにて2018年3月14日(水)から4月2日(月)まで開催される。
『新海誠展「ほしのこえ」から「君の名は。」まで』は2017年11月から12月にかけて東京・国立新美術館で開催。現役アニメーション映画監督が、国立の美術館で展覧会を開くことは、日本初の試みであった。そのほか、静岡、長野、北海道にて実施。今後は、みやざきアートセンター、宮城・TFUギャラリーMiniMori、沖縄県立博物館・美術館、福岡・北九州市漫画ミュージアムへの巡回が決定している。
新海誠は、『秒速5センチメートル』『言の葉の庭』などを手掛けてきたアニメーション映画監督。2016年に公開となった長編大作アニメーション映画『君の名は。』は、爆発的ヒットを記録し、映画の予告映像で使用された、RADWIMPS「前前前世(ぜんぜんぜんせ)」も同時にヒット。『君の名は。』をモチーフにしたイルミネーションや展覧会なども開催され、上映終了後も多くのファンの心を掴んでいる。
『新海誠展「ほしのこえ」から「君の名は。」まで』では、新海誠の原点ともいえる2002年の商業デビュー作品「ほしのこえ」から『君の名は。』までの軌跡をたどる。制作資料である絵コンテ、設定資料、作画、美術、映像、世界観を体験できる造形物など、貴重な品々を通して作品の魅力を今一度思い返す。
『新海誠展「ほしのこえ」から「君の名は。」まで』では、新海誠の6作品を軸に、制作背景や場面の説明、一つの背景や人物の動きが出来上がるまでの制作プロセスを紐解く。制作技術の変化による作風の変遷や、細部までこだわって作り上げられた作品世界をより深く理解できる内容だ。
各地で開催される『新海誠展 「ほしのこえ」から「君の名は。」まで』の魅力とはいかに。東京・国立新美術館での開催時の様子とともに探っていく。
作画資料からは、男女で入れ替わった際の主人公2人の行動や表情の違いが明確に描き分けられている。「お前は誰だ?」と書かれたノートや手のカットを特集した場面カットも登場。物語が始まるきっかけである“入れ替わり”を印象付ける。
作画資料には「なんじゃこりゃー!!感を目一杯」など、監督自身が修正したメモが残されているのもポイント。劇中に登場するキャラクターの生き生きとした表現は、監督による細部にわたる調整の賜物だ。その他、物語を彩る様々なキャラクター達も表情豊かに描かれており、その一つ一つの表情を見れば、映画の一場面を思い出すだろう。場面ごとに異なるキャラクターのカラーリングを一覧にしたパネルにも注目だ。
オープニングに登場する、都心の風景の構成を可視化した展示も。制作過程で3Dにシミュレーションされた都心の風景を、いくつもの層にして再現している。幾重にも重ねられた絵によって、奥行きのある都心の風景が完成。作中で重要な鍵となる「組紐」の台も展示される。
様々な場面で切り取られた本編映像が、展示室の随所で上映。印象的なクライマックス場面のムービーも登場する。ムービースペースの壁には、「大事な人 忘れちゃダメな人」「誰、誰? 君は誰? 君の名前は?!」の文字。スクリーンの反対方向には、場面を彩る背景描写を展示。暗かった空が陽の光に照らされて、グラデーションを描きながら明るくなっていく様がセンチメンタルに描かれている。
『君の名は。』以前に発表された新海誠作品も、豊富な展示資料とともにその魅力を紹介。細やかな心理描写や、色鮮やかなタッチで描かれる風景など、一貫した制作姿勢とあわせて、制作背景や時代とともに変遷する作風も楽しめる。