マルニ(MARNI)の2018-19年秋冬コレクションが、2018年1月13日(土)にイタリア・ミラノで発表された。
フランチェスコ・リッソがクリエイティブ・ディレクターに就任して3度目となる今シーズンは、2018年春夏コレクションから続く旅を描いた。とは言え、今回は異なるコンセプトを掲げている。それは、バーチャルの世界でも旅ができるようになり、その土地に行かなくとも体感・体験ができる現代だからこそできる規制のない旅。赴くままに気の向くままに世界を奔走する中、マルニの知的なセンシビリティを交えながら、フランチェスコ・リッソなりの創造を続けていく。
序盤に登場したのは、40年代のミリタリーファッションをベースとしたワードローブ。古典的なダブルのオーバーコートには、今季のキーとなる旅の中で出会うもの達を描いた、フランク・ナビンのポップなイラストがランダムに配されている。椅子などのファニチャーから猿などの動物まで。コートの下にきっちりとネクタイを締めたシャツと合わせてフォーマルに見せるかと思いきや、そこに手編みのニットを加えるなどして、多くの刺激を組み合わせていく。
中盤に向かうに連れて、マルニらしいジオメトリックなテキスタイルが増えていく。マルチストライプのシャツやパッチワークのムートンコート、チェック柄のダッフルコートといったラインナップは、すべてオーバーサイズで展開されている。一方で、ニットベストはコンパクトなサイズ感。マイクロ、マクロ、すべてのサイズをランダムに身に着けることで、均衡と不均衡が表裏一体となったスタイルが築かれる。
チャイニーズブロケードや体を包み込むブランケットによって異国情緒漂うルックが境界線のない旅を象徴し、その後さらにあらゆるものを巻き込みだす。カラフルなプリントは、サイケデリック、そしてグランジといった要素も表しているようだ。中でも目を引いたカラフルなダウンジャケットには、新しくブランドの顔となる“マルニラビット”が跳ねている。
終盤で登場するのはブリティッシュなムード。特にツイードスーツがメインとなった。トラッドなスーツも、大きなサイズ感で、その広いパレットには前半から引き続きフランク・ナビンのポップアートもあしらわれている。ツイードが醸し出す気品とは対照的とも思える足元は、通常よりひと回りほども大きいシューズとパンツまで覆ってしまう靴下によってボリュームいっぱいに表現されている。ランウェイの最後にはフランク・ナビン本人も登場し、答えのない自由な旅をともに楽しんだ。