2012年6月23日、ミラノメンズファッションウィークでジル・サンダー(JIL SANDER)の2013年春夏コレクションが発表された。先シーズンをもってディオールに移ったラフ・シモンズに代わり、今シーズンよりブランドの創立者であるジル・サンダーがクリエイティブ・ディレクターを務めている。彼女の復帰第一弾となるコレクションは、世界中が注目する中発表された。
ファーストルックは、ボリューミーな袖の白のシャツ、ダブルのロングベスト、そしてスリムなパンツ。スリムになったり、オーバーシルエットになったり、緻密な計算の上で成り立つ自由自在のシェイプが、強撚糸で織られたハリのある素材を使用することで、さらに際立ってくる。比翼仕立てのフロント、パンツのセンタープレスなどディテールに象徴される、端正な表情を持つミニマルな服作り。そこにはジル・サンダーの神髄が垣間見られるよう。
ジャカード・ウールとコットンのニットは、コンセプチュアルな作風で知られるドイツ人アーティスト、ブリンキー・パレルモ(Blinky Palermo)と、ミニマリズムのアメリカ人画家、ロバート・マンゴールド(Robert Mangold)の作品からのインスピレーション。ネイビー、イエロー、グリーン、ブルーのジル・サンダーらしい配色が、グラフィカルに共鳴し合い、完璧なリズムで洋服に落とし込まれている。
研ぎ澄まされた感覚によって生み出されたテンションを保った服たちが、真っ白なランウェイの上で、新たなジル・サンダーの世界の始まりを告げた。