マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)が2013年春夏コレクションを発表した。F・スコット・フィッツジェラルドの長編小説「夜はやさし」に着想を得た1930~40年代の南仏のスタイルと、1978年にジャマイカに渡ったセックスピストルズのジョン・ライドンにインスパイアされた、パンクロックの要素を加えたジャマイカンビーチのライフスタイルをミックスして提案。今回のコレクションでは、フィッツジェラルドが最も活躍した20年代が舞台の代表作「グレート・ギャツビー」ではなく、彼が既に過去の人となった頃の、比較的主題の暗い「夜はやさし」がモチーフとして選ばれている。
社交界に君臨していた美しく自由なダイヴァー夫妻とその周辺の華やかな生活は、スモーキングジャケット、スリーピース、明るい色調のストライプスーツなど、南仏のエレガンスを彷彿とさせる。物語後半のダークな部分は色の濃いサングラス、ダービーハット、ピンストライプスーツやトレンチコートなど、この時代のマフィアスタイルとして表現され、ニヒルな魅力を漂わせた。
そして今回、レディスバッグ「アントニア」のメンズ版となる「トニー」を発表。ウィークエンダー、ブリーフケース、トートの3型があり、素材には柔らかくマットな ナッパレザーを使用した。レースアップのレーザーカットの水玉、バックルシューズの透明パネル、クレープソールの透明プラスチックアッパーなど、遊び心溢れるユニークなディテールのシューズも目を引く。
また、ジャマイカの雰囲気を醸し出すパパイヤやサボテン柄は、NYストリートアーティスト“BAST”(バスト)の作品から。このコラボレーションは今季で4回目となり、コットンTシャツやスウェットシャツを明るくポップに彩っている。
エレガントに洗練されながら、リラックスしたドレスダウンスタイルが提案されたコレクション。暑さに負けない夏の装いの参考にしたい。