モスキーノ(MOSCHINO)の2019年春夏ウィメンズコレクションが、2018年9月20日(木)イタリア・ミラノで発表された。
“トゥルルル…”電話の着信音がショーの始まりの合図。ランウェイに光が灯されると、中央にはファッションデザイナーのアトリエ風空間が。大きなデスクと壁一面に並んだ書籍、そしてデスクの前にはデッサン画が張り付けられている。書き起こしたばかりの新作ピースは、まるで紙から飛び出してきたかのように、ランウェイに勢いよく現れた。
真っ白なキャンバスで仕立てた、ジャケットやベアドレス、トレンチコート、パンツスーツ。シルエットはどれもクラシックであるのに、その上にのった色彩は“ぐちゃぐちゃ”とラフにかかれた線である。初めは白紙にブラックラインだけだったものが、ピンクになり黄色になり、上から格子柄の模様を描いたり、複数の色を重ねたり複雑になる。その移ろいは『この色がいいかな、やっぱりこっちの方がいいか』と、デザイナーがデッサン画を書きながら悩む姿を想起させる。
時の流れとともに、モスキーノベアや苺の模様、ピースマークのゴールドアクセサリーなどのモチーフまで、テキスタイルの上に登場し、それらは塗り絵のように色付けされている。
色、柄が進化したころには、装いそのものにも変化が。クラシック一辺倒から、大振りリボンをあしらったデコラティブなドレスが現れたり、タンクトップ・ショートパンツといったスポーティなピースが起用されたり、スイムウェアが登場したり、多様性に富んでくる。
ラストにかけてはモスキーノ流のドレススタイルが登場。「モスキーノ クチュール」と名付けられたドレス群は、どれもノーマルではない個性派な印象だ。米袋のような素朴な素材で仕立てたベアドレスは、本来見えてはいけないはずのクリノリン風の格子状パーツが裾から顔を出している。
また、メジャーや針、ハサミ、巻き布など、洋服を仕立てる上で必要な“デザイナーのお供”もファッションに転身。ドレスやアクセサリー、帽子などに姿を変えてランウェイの上に現れている。
フィナーレは、結婚行進曲とともに。ぷっくりと膨らんだミニドレスに、スーパーロングなヴェールを組み合わせて。ふわふわと揺れ動くヴェールの上には、カラフルな蝶々が飛び回り、おとぎ話のようなドリーミーなムードが広がっている。