ジル サンダー(JIL SANDER)の2019-20年秋冬ウィメンズコレクションが、ミラノ・ファッション・ウィーク初日の2019年2月20日(水)に発表された。
まず初めに目に飛び込んで来るのは、美しい鳥たち。ホワイトのロングワンピースやビッグサイズのトートバッグといったキャンバスに、サギや燕といった鳥たちが、大胆かつ繊細に描かれた。写実的に表現された鳥たちは、まるで水墨画のように厳かな雰囲気と、今にも動き出しそうな躍動感の両方を持ち合わせている。
ベトナム・サイゴンの民族衣装にインスピレーションを得たというボリューミーなシルエットのセットアップなど、アジアを連想させるムードも印象的。深いスリットの入ったワンピースや指先まで隠れるほど袖を長く設定したシャツも、伝統的な衣装の面影を感じさせる。
足袋のようにつま先が2つに分かれたソックスブーツや、それと組み合わさることで草履を連想させるようなストラップシューズなども登場した。
ルーシー&ルーク・メイヤー夫妻が追及している男らしさと女らしさの関係の探求は、コーディネートに顕著に現れているように見える。ワンピースやドレスは、足をすっぽりと覆い隠すかのようなロング丈が主流。スリットの入ったロングワンピースにもゆったりとしたワイドパンツを合わせるなど、足元は比較的禁欲的であるように感じる。それに対し、胸元を大胆に開けたドレスやキャミソールワンピースなど、デコルテでセンシュアルなムードを醸し出すアプローチが目を惹いた。