パリファッションウィークで発表された、ラフ・シモンズにとってセカンドシーズンとなる、ディオール(Dior)の2013-14年秋冬コレクション。ラフがモダンに解釈したメゾンのコードと、アンディ・ウォーホルなどのシュールレアリズムからのインスピレーションが込められている。
本コレクションは、アンディ・ウォーホル美術財団がショーステージのクリエイションを支援。ルネ・マグリットの空の鳥から着想を得た雲が浮かぶ青空に、巨大な銀の球体が浮かぶ幻想的な空間でショーが行われた。
序盤、アンディ・ウォーホルの絵画からアイデアを得た、靴や女性、筆や花がハンドペインティングやスパンコール、刺しゅうで描かれたオーガンジーのドレスが続いて現れた。シュールレアリズムを代表するモチーフとしての「目」は、ドレスやコスチュームジュエリーとして表現されている。
メゾンのコードとしての要素は、ムッシュ ディオールのアイコンをラフ流にモダナイズして提案した、バージャケットのパンツルックなどに見られる。デニムで作られたバージャケットは、ウエストラインの位置を上げることで、完璧なプロポーションを演出。ボトムはあえてバギーパンツに仕立てることで、現代の風を吹き込んだ。またレザー花々で装飾されて復活した50年代の「ミス・ディオール」、「アリゾナ」などの名作が現代に蘇っている。特に「アリゾナ」はショーの中で1点、ムッシュ ディオールが命の色と呼んだ赤を象徴するルックとして登場した。
また中盤、モノトーンを軸に編み出される美しいニットのドレスが続く。大柄のグレンチェックにレイヤードされた透かし網のニットが更に奥行きを与えた。紳士的なモチーフを女性的に表現させており、ラフ・シモンズらしさを感じさせる。新しいディオールはその歴史を脈々と引き継ぎながらもモダニティを打ち出し、ブランドのアイデンティティを進化させている。