ミュベール(MUVEIL) 2021年リゾートコレクションが発表された。シングルマザーと2人の娘の絆を描いた映画『恋する人魚たち』に着想を得た今シーズンは、作品の舞台となる“60年代”のレトロポップなアメリカンカルチャーの空気を詰め込んだ、ハッピーな世界観に包まれている。
コレクションを彩るのは、古き良き60年代の陽気なムードを閉じ込めた、カラフルなカラーパレット。太陽のように元気なオレンジ、パキッとしたレッド、爽やかなブルーが洋服の上を行き交い、同時に温かな季節の訪れを祝福する。またそこに交わるのは、小花柄やリップ柄といったミュベールのオリジナルプリント。ちょっぴりレトロで、どこか懐かしい絵柄もまた、今季のムードを作る上で欠かせないエッセンスである。
映画の登場人物たちが纏う、ワードローブに着想を得たピースも見逃せない。今季散見された“大きな襟”が際立つブラウスやワンピースといったワードローブは、その象徴的なアイテム。また同じくシンボリックなクロシェ編みのニットは、ワンピースの上から重ねられていたり、ボーダー柄と切り替えたワンピース単体として登場していたりと、現代的なアプローチもみてとれた。
ペンギンやクジラといった、ミュベールらしいアニマルモチーフも、60年代のポップな世界へとタイムスリップしたようだ。ペンギンを両サイドにあしらったボーダー柄のカーディガンには、全くムードの異なるボーダー柄のスカートを合わせることで、グラフィカルな表情を強めた、遊び心溢れるスタイリングを提案している。
Tシャツやワンピース、ロングコートなどに登場した、クラシックカーや香水瓶といったキッチュなイラストは、スペイン出身のパターンデザイン・アーティスト、ブリアンダ・フィッツ・ジェームズ・スチュアートとのコラボレーションによって誕生したもの。ブランドのアイコンである“スズラン”も、彼女の再解釈によるクラシカルな表情を添えて、真っ白なTシャツの上で咲き誇っていた。