ポール・スミス(Paul Smith)は、2021年春夏ウィメンズコレクションを発表した。
今季のポール・スミスは、褪せた色彩に彩られた記憶からインスパイア。フォトアルバムの中の写真を眺めながら、ゆったりと過ごしたかつての休日や、当時の70年代スタイルを思い起こす。記憶の中に存在する、その時の色彩や空気を追いながら、夢のように華やかでリラックスしたムードをコレクションに落とし込んでいる。
ポール・スミスならではの仕立ての美しさはそのままに、全体的に緩やかなカジュアルウェアで構成されているのが特徴的だ。空のように淡いライトブルーのダブルジャケットは、裾を短めに設定しボクシーなシルエットを採用することで、しなやかな素材感を生かしたコンフォートなデザインに仕上げている。
また、袖に分量感を持たせたチェックのコートや、ドロップショルダーのブルゾン、コンパクトな丈感のショートパンツなど、肩の力を入れずに着られるアイテムが勢揃いしている。広がりのあるボックスプリーツスカートには、アイボリーのバルーンスリーブブラウスをオン。襟に向かってギャザーを寄せることで柔らかさをプラスした。
印象的なのは、どこか“時の流れ”を連想させる、太陽の光に灼けたようなカラー。レンガのような赤茶色のシャツワンピースには、濃いトーンの同系色のジャケット、パンツを合わせて奥行きのある佇まいに。グレーがかった青の花柄シャツに合わせたオレンジのワンピースは、上品な光沢とともに落ち着いた雰囲気を演出する。また、マニッシュなセットアップには、しなやかな生地の質感に寄り添うようなスモーキーピンクが採用されている。
フラワーモチーフも、“追憶”のイメージをより強めている要素だ。シンプルなノースリーブドレスや、首元が大きく開くシャツワンピース、タイトなカットソーには小花柄を総柄であしらい、ノスタルジックなシルエットを際立たせる。緩やかなシャツ、ギャザーを寄せたインナー、プリーツスカートと、全て小花柄で統一したルックは、ラフな雰囲気とカラフルな模様が、開放感あふれるリゾートの風景に溶け込むようにして馴染んでいく。
また、半袖のボーダーシャツには存在感のあるローズモチーフのタイトスカートをコーディネート。鮮やかながら影も感じさせる、ローズの色使いが独特の余韻を残す。また、ウエストにシャツの裾を入れ、サンダルにソックスを組み合わせた着こなしによって、レトロな空気感を漂わせている。