2013年6月27日(木)にパリで発表された、ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)の2014年春夏メンズコレクションは、オールブラックのルックからスタート。
ラペルが大きく広げウエストをシェイプさせたジャケットや、袖を捲し上げてインナーを見せたダブルブレストなど、ジャケットひとつ取っても、その表現の豊かさは語りきれない。5ルック目からは墨汁が滲ませたようなグラフィックが靄の中から抜け出たような曖昧な印象を持たせる。
全体的には、ジャケットの着丈はいつもより短めで、パンツはドレープ感を重視した太めのものが中心。かなり強めのコーティング加工が施されたストライプや、レディースに使われるような透け感や落ち感のあるオーガンジーなど表情豊かなテキスタイルにより、幾通りものニュアンスの違うセットアップスタイルを表現した。
9時28分10秒の時計が描かれたストライプシャツ、民族調のロングシャツなど、シャツの種類も充実している。胸元から肩にかけて裂かれたシャツは、鋭い瞳を思わせる。カラーはブラック&ホワイトを軸に、光沢のあるグレーがかったベージュ、ブルー、紫、黄、オレンジなどを差している。とくに鮮やかなイエローはブラックとのコントラストが印象的だ。ショー終盤には「UGLY ANGEL」「HELP」「BAD」「ME」というメッセージがそれぞれ顔に描かれたモデルはまるで天使。光と影、ダークネスとピュアを合わせ持つ現代の神話のようなコレクションだ。