ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)の2014年春夏メンズコレクション。毎回「旅」をテーマにコレクションを制作しているルイ・ヴィトンが、今回の旅路に選んだのはアメリカ。東海岸から西海岸へと大陸を横断する中で明らかになっていく、多様性に富んだアメリカの姿を服に落とし込んだ。
メンズ スタイル・ディレクター、キム・ジョーンズは、本コレクションが旅の持つ自由の精神を表現していると語った。その言葉通り彼は、今季のコレクションを「do-what-you-want」という姿勢に基づいて制作。街から森へ、そして砂漠へと目まぐるしく変化するアメリカの広大な大地をインスピレーション源とした。そんなルイ・ヴィトンが今回提案するのは、シックな折衷スタイル。伝統的なアメリカのアイコンと、ブランドのラグジュアリーさを見事に融合させた。
60年代のアメリカを代表するようなプレッピースタイルでショーは開幕。そこから次第にテイストは、アウトドアな雰囲気へと変化していく。象徴的なのは、Vのロゴの入ったバイカージャケットや、上質なブルゾン、柔らかいブルーのスゥエードで仕立てられたデニムジャケットや、モノグラムのバンダナ。どれもアメリカンカルチャーを代表するアイテムばかりだ。ショー全体を通じて、主要なモチーフになったのはパッチワーク。その手法は、高度なテクニックにより、対照的な皮をつぎ合わせて仕上げられたシューズに見ることができる。また、オーバーサイズのコットンシャツには、テキスタイルとしても用いられている。
ショー中盤になると、ルックはカウンターカルチャーの様相を呈してくる。タイダイ柄やギャラクシーモノグラムが、サブカルチャーや、アメリカが威信をかけて挑む宇宙開発を体現。小物には、アルミニウムのラップトップ・タブレットケースを合わせて、IT先進国のアメリカらしい功利主義を表現した。
ファイナルを彩ったのは、そのままプロムに行けるようなクラシックなイブニングウェア。素材に、日本の着物に使われるシルクを使用したシャツも登場した。また、エレガントなスーツには、忘れな草やタンポポの綿毛、トウモロコシの穂モチーフの、コサージュをプラス。羽で作られたコサージュがアクセントになり、シンプルなスーツスタイルがぐっと洗練された印象に。
バックミュージックに使われたのは、アメリカのロックバンド「REM」の曲。自信もボーカル、マイケル・スタイプの大ファンだというキム・ジョーンズが、アメリカ横断の旅というテーマに合わせ選んだ形となった。