日本上陸も果たした新進ブランド、アンティポディウム(ANT!PODiUM)。今回は、2014年春夏のプレコレクションをご紹介。クリエイティブ・ディレクターのジェフェリー・J・フィンチ(Geoffrey J. Finch)は、最近、トップショップのクリエイティブコンサルタントにも就任している。
コレクションのテーマは、「Teddy Boys' Picnic」。テディ・ボーイとは1950年代からイギリスで流行した、リーゼントやラバーソールなどが特徴の、ロンドンのダウンタウンのちょっと不良な若者たちのスタイルのことを指す。
コレクションの注目は、ロンドンを中心として活躍するアーティスト、ラッセル・モーリス(Russell Maurice)とのコラボレーション。クリエイティブ・ディレクター、ジェフェリー・J・フィンチに、コラボアイテムを中心に新作について話を聞いてみた。
ラッセルとのコラボレーションはどのように実現したんですか?
実はすごく偶然に実現したんです。たまたまある日ラッセルがロンドンでショッピングしている時に、その場に僕も居合わせていてね、クリスマスプレゼントを探していた。その時に彼がかぶっていた帽子がすごくかっこよくて、デザインのインスピレーションのために写真を撮りたいって。実際、それ以前にも、友人の紹介で一度彼とはパーティーで話したことがあったから。でも緊張しちゃって写真を撮りたいって言えませんでした。だから友人にラッセルのメールアドレスを教えてって頼んだんです。そうすればその帽子の写真を送ってほしいってメールを送れるでしょ?
それで、ある時彼のウェブサイトを見ていたんですが、そしたらもうビックリ!だってそれこそまさに僕が今回のコレクションに必要としていた要素と見事に合致していたんだから。彼の作品はマンガでありながらダークな部分を持ち合わせていますよね。そこがぴったりだったんです。それで彼とコラボレ―ションすることになった。本当に嬉しい偶然でしたよ。
これがコラボレーション作の1つ。見て、酔っぱらったテディベア カクテルグラス、僕(ジェフェリーベアー)、宙を舞う頭、シャンパンを持った木、チップ&デ―ルの熊、顔のない熊、こんな風に次から次へと色んなモチーフがあって、見る人を飽きさせないっていうことはすごく重要。だから僕はこうして細かいディテールにもこだわるようにしてるんです。
コラボレーションの仕上がりには満足ということですね。
ええ、もちろんです。彼は本当にコラボレーションするには最高の相手。それに僕たちはすごく近いユーモアのセンスを持っていると思うんです。
コレクションのテーマについて簡単に教えて頂けますか?
まず根本にあるのはやっぱり童謡かな。それからブランド名にもある通り正反対のものを組み合わせるっていう部分。例えば童謡やテディ・ベア、パフスリーブ、ポンポンなどおもちゃのようなモチーフに柔らかな素材、そしてポリ塩化ビニルのような化学素材やバイクジャケットなどのハードなモチーフの二面性。この二つの対照的な要素を融合させることこそ、アンティポディウムのコンセプトですから。
例えば、リボンというカワイイモチーフが付いていながら、実はベースボールジャケットなんてアイテムもあります。かわいさとかっこ良さを同時に実現しているんです。
個人的に1番好きなアイテムはどれですか。
バイクジャケットは気に入ってますね。見て、裏地がデニムになっているんです。デニム、バイクジャケットというマスキュリンなモチーフなのに、襟元にはフェミニンカラ―の大胆なピンクが入っているのがすごくおもしろいと思う。
ところで「クライ・ベイビー(crybaby)」という映画を知ってます?ジョニー・ディップが出演しているんですが、すごく良い映画。その中でも彼がバイクジャケットをかっこ良く着こなしてて。9番目のルックのジャケットは、その映画をインスピレーションにしたものだから「Crybaby Bamber」って名前を付けたんです。
インスピレーション源の一つだというテディボーイについても少しお話を伺えますか。
ああ、もちろん。テディーボーイといえば、1950年代の、まさにイギリスのサブカルチャーのアイコン。青春時代というかね。「ジャイブクラブ」とかロックンロールとかもこの頃からスタートした訳だし。フルスカートなんかはテディ―ガールからフィーリングを得てデザインしたものだよ。彼女達が良く着ていたものさ。この長いレングスがすごく特徴的でしょ。
最後に、今回のコレクション、どんな女の子のに着てほしいですか。
クリエイティブでユーモアがあって、楽しいことが好きで、そういう女の子って素敵だよね。だから、賢くって、楽しむことを知っていて、ダンスフロア―ではじけることが好きな、そんな女の子にピッタリ。
春らしく明るくてポップなカラーが多く使われている今回のコレクションは、テーマの通りピクニックに出かけたくなるような、心躍るアイテムが揃う。その一方でそれらのアイテムには、かわいいだけではない、一筋縄ではいかない女の子を象徴するようなスパイスが効いてます。アンティポディウムの世界観が見事に表現されたコレクション、ぜひ店頭でチェックしてみて。