ル・フラックスは2013年夏に新たなコレクション、「The Gee’s Bend Collection」を発表した。米国・アラバマ州にある、アフリカ系アメリカ人女性たちのキルトメーカーグループ、「The Quilt of Gee's Bend」からインスパイアされた。さまざまな布の切れ端をもちいてパッチワークキルトは、不規則につなぎ合わされた大胆なデザインが特徴だ。
Gee’s Bendにはずっと興味がありました。キルトを始点に、一つひとつ服をつくってみたくて。なので、それぞれのドレスは一枚のパッチワークキルトがもとになっているんです。Gee’s Bendの活動はとても長い期間で、たとえば30年代とか40年代にできたものもあります。だから私たちは花柄のサックとか、その頃のとても古いものを使いました。今回は、服ごとに、一枚のパッチワークをつくって、そこからそれぞれの服のパターンに合わせてカットしてみました。(パッチワークが手作り)だからすべての服が少しずつ違うんですよ。
リサイクルセンターとかバザーとかで手に入れます。ほとんどがリサイクルセンターですね。オーガニックの生地は業者から入手します。
まったく同じ素材を使うのではなくて、カラーパレットを考えます。たとえばピンクのものをつくっていたら、ピンクの生地に集中します。
そうなんです、アイディアの研究をしているときに見つけて。100年くらい前の日本の農村で使われていたデニムジャケットの「BORO」ってわかりますか?刺繍があしらわれたインディゴのデニム。農村にいる人たちが刺し子の刺繍が入ったデニムの上着を着ていたものです。今回のコレクションの何着かは、刺し子のパネルをほどこしました。
そうです。すばらしかった! 1週間、東京を訪れただけだったから、もう少し長くいたかったのだけど。仕事でショップを回っただけだから、いろんなものは見れませんでした。でも東京に行くのは本当に好きです。クリーンで素敵なところですね。
Interview and Text by Kanae Kawasaki
原宿にあるLampの話をすると、Luは「最高、完璧なお店ですね!」と笑顔で答えた。また日本に訪れる予定があるそうで、紙とペンを持ってきて、他に素敵な場所があったら教えてほしい、と尋ねる。Luは、真剣なまなざしでインタビューに応じながらも、時折みせる少女のような一面が印象的だった。
ひとりのデザイナーとして、服づくりにヴィンテージを使用するというこだわりを持ち続ける彼女の取り組み。それはいわゆる「エシカルファッション」として社会貢献につながっている。しかしなによりも、彼女が15歳からずっとヴィンテージを愛し続け、そこから服をつくりたいという、純粋な情熱のほうが、よっぽど重要であるように感じられた。
イースト・ロンドンの片隅にあるスタジオ。この日も、Lu Fluxの宝物であるヴィンテージの生地がたくさん作業テーブルに置かれている。ここから今日も、日本をはじめ、イギリスや海外からのオーダーにむけ、彼女のハンドメイドの一着が誕生するのだ。