光沢感のあるシルクシフォンやニット、プリーツを使った軽く柔らかい印象が目立ったソマルタ(SOMARTA)の2010S/Sシーズンのコレクション。独特の「美しさ」の中にある「強さ」といったこれまでのイメージとは異なり、独特な「美しさ」の中により「フェミニン」な要素を加えた印象。
コレクションのテーマはポール・ヴェルレーヌの詩「汽車の窓から」。旅に出た少年が、汽車の中で不安を感じながらも、心の中にある女性の名前を思い出すと明るい気持ちになってゆく情景と空想の織り交ざった世界観を表現した。
注目を集めた帽子やスカートに使われた花びら素材は、手編みしたニットに1つ1つ丁寧に花びらを繋ぎ合わせたもの。ツイストに編まれたニットは詩の中にでてくる「渦巻き」を表現している。また、ショーが進むにつれてホワイトからローズへ、ローズから赤へと変化するグラデーションは、旅がすすむにつれて空の色も明るく夕焼け色になってゆく情景を表した。
今回のテーマは所属するSOMA DESIGNの森崇氏の作曲からインスパイアされたという。「森がヴェルレーヌの詩を使ってよく作曲するのですが、その中でも今回の詩がすごく好きだったんです。意外かもしれませんが、私自身もともとはこのような柔らかくて優しいイメージが好きで…。今回はちょうど3年目のくぎりということもあり、自分のもともとの好きだったものの原点に立ち返ろうと思いました。」と語るデザイナーの廣川玉枝氏。会場では森氏のピアノと坂本美雨氏の歌がBGMとして流され、新しいSOMARTAの世界観を表現していた。
廣川氏は「SOMARTA=身体性という皆さんがお持ちのイメージはもちろん中心に置きながら、今回はもっと新しい世界観を表現したかった」と語る。