ファクトタム(FACTOTUM)が、2013年9月18日(水)、代々木体育館の屋外で2014年春夏コレクションを発表した。今シーズンは北欧モダン代表的な建築家アルヴァ・アールトにインスパイアを受け、フィンランド語で新しい波を意味する「UUSI AALTO」をテーマに据えた。
デザインに取り掛かるにあたって、デザイナーの有働幸司はアールトを追いかけるフィンランドへの旅に出た。数々の建築物を目にしたなかで目に止まったのは、アールトが通った学校やユヴァスキュラ教育大学など。それらの学校をキーワードに、経済や政治、ファッション界に訪れる新しい波を表現した。
序盤のルックは、メンズ・ウィメンズ、それぞれの洋服がミックスされたスタイルを提案、ファッションに起きている新しい波「ユニセックス」を表現した。そこからウェーブ柄のメインテキスタイルへと移り変わる。アールトが大事にしているという「人間味」を尊重し、柄は全て手書きがベース。履き心地を重視したビブラムソールのローファーにもこの柄が刻印されている。差色には、アールトの作品「赤の時代」のレンガを表現したバーガンディが使われた。
中盤からはホワイトからグレーにかけてのカラーを巧みにミックスさせ、アールトの作品の特徴の1つである温かみのある光を表現。モダンスポーツともいえる新鮮なスタイルを披露して魅せた。このあたりで多くみられたスニーカーには、アールトをイメージした色が迷彩風に散りばめられている。ラストは着心地の良いコンフォートなドレスライン。風に揺らめく軽やかな素材が採用され、アンコンストラクテッドな仕立てで裏の始末も軽くした。そこにスポーツの要素をプラスすることで、より軽快に。世界がうねりを上げ大きく変わり始めていた、60年代後半から70年代のスポーツスタイルやスクールスタイルを、ファクトタム流に再解釈したコレクション。
最後は、モデル全員がショートパンツ&スカートにシャツ、そしてネクタイをを身に纏い行進する、スクールテイスト満載のフィナーレ。「男女混合で、ラブリーな世界観を出したかった」と有働幸司は語る。アールトのデザイン哲学の1つである「学び続ける」からヒントを得て本を持たせたり、手元に花を添えて彼の優しさを表現したりと、2013-14年秋冬コレクション同様粋な演出にも注目。