2013年9月30日(月)、サンローラン(Saint Laurent)が2014年春夏コレクションを発表した。
鉄橋のような舞台装置がランウェイをまたぐように建てられ、ショー開始となるとゆっくりと動き出した。そして現れたのは光る複数の三角形。この現代アートの佇まいを持ち合わせたステージのセットデザインは、エディ・スリマン自らによるもの。その下をモデルたちが肩で風を切るように颯爽と駆け抜ける。
スタイルは、秋冬のグランジスタイルからのウェアラブルな印象はそのままに、エッジイでタイトなエッセンスが加わっている。例えば、シャツに合わせたタイ。レザー素材に極細なシルエットとストイックな提案がなされた。ハイウェストの細身のレザーパンツにトップスを入れた着こなしは、古き良き時代のロックミュージシャンのスタイルで魅せた、今季春夏のメンズからの流れを感じさせる。
サンローランらしい、スモーキングジャケットもイン。前半と後半の二度に渡って着用したモデルがマニッシュで気だるげな、実に印象深いウォーキングで見せてくれた。ジャケットにアレンジを加えてジャンプスーツやボレロとして生まれ変わらせた試みも伺える。80年代風の幾何学模様のドレス、パイソンで作ったゼブラ柄スカートと、燃え立つ炎をスパンコールで表現したトップスを合わせたスタイリングなど、賑やかなプリントを多用しているのも特徴といえるだろう。ショーの締めくくりであり、コレクションの印象を左右する大切な要素となるラストルックに選ばれたのも、リップモチーフのワンショルダーだった。
そんな中注目したいのが意外性を与えてくれたシューズ。こんなクールなスタイルには、当然ハイヒールを持ってくるだろうと思わせながら、靴のかかとに付けられたのは、実に低くて小ぶりなヒール。ポインテッドトゥにアンクルストラップとシューズ自体のデザインがフェティッシュであるからこそ余計にそのアンバランスさは引き立つ。
一年前のエディ就任後初となるコレクション時でもそうだったように、今回もフィナーレの前に拍手が沸き起こった。演出やスタイル、全てをシンプルにかっこいい!と思ってしまうコレクションに対する観客達の素直な反応だったのだろう。