2013年9月25日(水)、ドリス ヴァン ノッテン(Dries Van Noten)が2014年春夏コレクションをパリファッションウイークにて発表した。会場に入ると、真ん中にぽつりと置かれたベースとアンプ。ベースだけにシンプルな演出なのだな…と思っていると現れたのはレディオヘッドのベーシスト、コリン・グリーンウッド。この豪華な生演奏をバックにショーは幕を開けた。
客席の正面には巨大な金屏風が置かれ、モデルたちがどんどんその前に並んでいく。ショー終了後には、ゲストたちが近づいて服をじっくりと見られる配慮がなされ、細部にまでこだわったアーティーなクリエイションだけに美術館さながらの光景となった。
キーワードは、「ゴールド」、「ラッフル」、「フォークロア」。会場の金箔を貼りつくした屏風が語るように、ゴールドがスタイルの至る所に散りばめられる。ポイントとしての部分使いのみならず、ジャケットやプリーツスカートといったアイテムの全面に大胆に用いている。そこに合わせる、生成り色をした洗いざらしのコットンともども、ピュアでプリミティブな印象だからこそ、確かなセンスと気品を感じさせる。モデルのヘアメイクとて例外ではない。特に、生え際の一筋のゴールドラインは、神秘的な美しさを宿していた。
ラッフルは大小様々、表情豊かに提案された。前半は、細かく繊細なものをブラウスの胸元や、ドレスのサイドに。後半では、ラッフルで描いた大輪の花で、主役級の存在感を見せている。全体のベースとなるフォークロアなムードは、ネイビーやボルドーなどの落ち着きのあるダークトーンや、ネイティブアメリカン調のフリンジ付きニットなど、色味や柄に表れる。普通、秋冬と相性が良いとされるこうしたテイストをあえて春夏に提案しているのも特筆すべき点である。
小物類には、イエローやレッドのパイソンを採用。よくよく考えてみると、前述したネイティブアメリカンプリントにパイソン、ドットやスターモチーフなど普段隣り合うことはそうそうないであろう柄たちが調和を見せていることに気付く。これぞトップメゾンの成せる業なのだろうか。
ここ数シーズン、エディターやバイヤーたちの心を奪うヒット作を連発しているドリス。事実、今回の会場でも秋冬のクラブストライプアイテムに身を包んだファッショニスタ達に遭遇した。今季はどのスタイルに白羽の矢が立つだろうか。答えは、来春のコレクション会場にて明らかとなる。