エムエム6 メゾン マルジェラ(MM6 Maison Margiela)の2022年秋冬コレクションは、街で見かける着こなしや服の中に隠された美しさからヒントを得た。
日常の何気ない風景にある慣れ親しんだ服は、人との密接な関係性によって一層の魅力を纏う。そこには、エムエム6 メゾン マルジェラにおける“着ることで完成する服(ready when worn)”というコンセプトが色濃く反映されている。
コレクションの軸を成すスーツやコートは、都会で通勤する人々に寄り添う服装を彷彿とさせる。しかしながら、フォーマルウェアの厳格さはエムエム6 メゾン マルジェラの解釈によってユーモアへと変わり、ドライウールのピーコートは、存在感のあるショルダーラインと誇張されたピークドラペル、スーツのジャケットは、ウエストをキュッと絞ったジェンダーレスなシルエットでアレンジされている。
ワークやミリタリーのムードも重要だ。タフであるはずのフライトジャケットは、たっぷりのギャザー、あるいはフェミニンなペールトーンによって新たな可能性を開いた。機能的なウェアである側面は削がれ、例えば、ボリューミーなアウターはブーツとの組み合わせでカクテルドレスのように提案されている。
また、同じく実用性を重んじるアウトドアの概念をサロモン(SALOMON)とのコラボレーションに垣間見る。エムエム6 メゾン マルジェラのフィルターを通したシューズは、シグネチャーである“6”ヒールのアンクルブーツと呼応することで、機能性とファッション性を両立したハイトップのシルエットに。一方で、落ち着いたカラーとフューチャリスティックで大胆なカラーが採用されたロートップモデルも登場している。
そして、今季重要なデザインのひとつとして、両袖が背中のサーキュラーカットに置き換えられたドレープシルエットが挙げられる。メゾン マルジェラのジェンダーレスアイテムである“5-zip”ジャケットをはじめ、濃厚なフォレストグリーンのレザーオーバーコート、ブレザー、フーディにも施されたこのカットは、見慣れた服に新しい刺激を加えている。