ハルノブムラタ(HARUNOBUMURATA)は、2022-23年秋冬コレクションを、2022年3月14日(月)に、渋谷ヒカリエにて発表した。ランウェイには、三吉彩花がモデルとして登場した。
今季、デザイナーの村田晴信がインスピレーションを得たのは、写真家のジャック=アンリ・ラルティーグ(Jacques-Henri Lartigue)が写し出す日常の風景。車が走る様子や空を飛ぶ飛行機、駆け出す人々など、日々の中に存在する様々な動きを捉え、パーソナルな視点から記録したジャック=アンリ・ラルティーグの写真作品には、絶えず流れていく日常の中にある“瞬間的な美しさ”が残されている。
村田は、この刹那的であり、普遍的でもある一瞬の美しさと、ラルティーグのミューズであったルネ・ペルル(Renee Perle)をはじめとする女性たちのミニマルで優雅な装いに着目。着た時の姿勢や、仕草、動作による変化の中にも美しさを見出せるように、フォルムを設計した。
例えば、あえて途中までしか袖を通さずに着たコートや、分量感のあるマフラーをざっくりと巻き付けたスタイル、身頃に配した穴から袖を通すことでカーヴィーな輪郭線が生まれるアウターなど、着る人の動きや佇まいと連動し、その時々で美しい残像の残る衣服が提示されている。
空気を含むようになだらかな曲線を描くロングドレスや、流れるような仕立てのテーラードジャケットとスラックスのセットアップ、身体に沿いつつ柔らかさも携えたニットのトップスやスカートなどは、フェミニン、マニッシュ、センシュアルといった特定の印象を持っているというよりは、個々の感情やムードを投影できる余白を備えている。
ことさらに何かの性質や雰囲気を強調したり演出したりすることなく、人が袖を通した時、身にまとった時の姿の完成形を思い描いてクリエーションを行うと話す村田。袖を通す人が着た瞬間に生まれるムードを生かす緻密な仕立てと、柔らかなキャメルやシルク、ヴァージンウール、そしてソリッドなギャバジンといった素材使いの絶妙な調和が見る者に余韻を残していく。
また、ハルノブムラタにとって初のシューズコレクションも披露。ギャザーを寄せ、革の風合い豊かな質感を生かしたポインテッドトゥのシューズをはじめ、スクエアトゥのフラットシューズ、ブーツが登場。小脇に抱えた大きなボストンバッグや、クラッチバッグのように手持ちした、ボックス型のショルダーバッグなども目を引く。
加えて、板垣孝明の手がけるOAOのスニーカーや、シュン オークボ(SHUN OKUBO)のジュエリーなどもスタイリングにプラスし、着こなしにアクセントを効かせた。