ピリングス(pillings)は、2022-23年の秋冬コレクションを、2022年3月18日(金)に発表した。
"愛おしいニットを作る"ことをコンセプトとするピリングス。今季掲げるテーマは、"理想と現実"。そのギャップの中で葛藤する人間像や、苦しみながら生きる美しさをピリングスが得意とするニットで表現した。
そのコンセプトは会場にも反映されており、天井に吊るされたグランドピアノは、少しのズレも許されない社会の"現実”を、純白の美しいランウェイは"理想"をイメージ。その"理想"と"現実"の間を歩くモデルたちが纏う最新のコレクションは、"現実"を象徴したピースで構成される。
例えば、今季のメインモチーフとなったのは、真っ黒な“蟻”。この蟻を社会性のメタファーとして捉え、ニットの上にやや不気味なムードをプラスしている。会場にも登場したグランドピアノのモチーフに、均等に整列する無数の蟻のアイコンを施すことで、秩序の中に生きる社会を表現した。
"虫の標本"をイメージし、蝶やトンボ、カブトムシ、ミツバチなど....様々な生き物をあしらったニットも登場。同じモチーフでも、少しずつその形や色合いに違いをもたせ、1人1人に意思があるという、現実の社会を表した。
ボトムスには、引きずってしまうほどの長さのスカートを採用。実はこのスカートは途中まではパンツで作られており、股下からスカートに変化させている。そのため可動域が制限され、とても歩きづらい。この歩きづらさを"生きづらい人"と捉え、現実の世界を象徴するピースに昇華させた。
また、クラフトマンシップを感じさせるディテールにも目を奪われる。ビッグシルエットのアランニットには、太めのロープを交差するように施した。ダイナミックなディテールは、やや荒々しい印象も受けるが、美しく均等に配されているため、繊細かつ洗練された空気も纏っている。
現実を象徴するデザインが展開される一方で、フラワーやサメをモチーフにした遊び心溢れるピースも。立体的な花を全面にあしらったニットは、優しい色合いのピンクやブルーカラーが採用され、コレクションに華やかな彩りを加えていた。