エムエム6 メゾン マルジェラ(MM6 Maison Margiela)の、2023年春夏コレクションを紹介。
エムエム6 メゾン マルジェラが今季光を当てるのは、バレエパフォーマンスの背景にあるプロセスやバックテージ。ステージに向けた練習や準備をしている時の装いが着想源になっている。ショーの会場では、モデルをイーゴリ・ストラヴィンスキーのバレエ作品「春の祭典」の通し稽古を行うダンサーに見立て、リハーサルの風景を表現した。
コレクションのキーワードとなるのは、“レイヤード”。シンプルなキャミソールの上にキャミソールを重ねて着たり、淡いペールオレンジのロングタンクトップにリブニットのビスチェをレイヤードしたり、はたまた、キャミソールにアームウォーマーを合わせたりと、バレエのレオタードや練習着を彷彿させるスタイリングが目を引く。
オフショルダーのボディースーツには、サロモン(SALOMON)との2回目のコラボレーションによる、アクティブなランニングベストをスタイリング。サロモンのシグネチャーであるソールツーリングを採用した、ポイントアッパーのサイハイブーツも新たに登場する。
また、本来の用途とは異なる形でレイヤードスタイルを構成しているアイテムも印象的だ。例えば、立体感のあるシルエットを描くサテンコートの上からあえて重ねたキャミソールは、カマーバンドとしての役割を果たし、ソフトなニットのキャミソールドレスは、上部を折り返し、ハイウエストのスカートとして着用されている。ボトムを留めずに着用したボディスーツには、キャップスリーブのレザージャケットとルーズなフィットのパンツを合わせ、ラフな佇まいを提示した。
加えて、ダメージ加工や、“穴”の開いたデザインも特徴的。随所に穴をあけ、何年も着古したかのように黒ずんだピンクのデニムジャケットやデニムパンツは、丸で時を経て朽ちていったかのような表情に。また、ゆったりとしたプルオーバーや、マーメイドシルエットのデニムスカートにもダメージを施し、稽古で履き古したバレエシューズや親密さ、“時の経過”を想起させる装いに仕上げている。
ウェアに加え、シューズやバッグにもバレエのディテールが落とし込まれている。ジャージー素材で仕立てたオープントゥのサイハイソックスブーツは、皮膚のように足にフィットすることで、躍動する身体と一体化。また、トゥシューズを模したクロスボディのミニバッグも登場している。