(kolor)カラーが2014年1月16日(木)、2014-15年秋冬コレクションをフランス・パリで発表した。全体的には、1960~70年代の自然回帰、ヒッピーのモチーフをモダンにアレンジした印象で、クラフト風のレザー、オールドスキー、カウチンセーターなどを、いつものカラーのシルエットの中に潜ませている。
なかでも目立つのが、部分的なキャメルのレザー使い。細かいチェックのグレーのスーツには、ラペルや肩のコンケーブ、ボタンホール、パンツの膝の内側にアシンメトリーでレザーパッチを配置。レザーをつなげるステッチはハンド風のAMFステッチで、クラフト感を演出している。綻びた部分を無造作にレザーで補修したようなチェスターコートもある。
素材を調理する腕前は相変わらず一級品だ。カジュアルな印象の太ピッチのボーダーは、あえてドレッシーなチェスターコートに採用。単体ではおやじっぽいイメージのベージュのヘリンボーンは、Vゾーンを広く取ったダブルブレストのチェスターコート、パッチポケットの抜け感のあるジャケットに調理している。同じくおじさんっぽいガンクラブチェックは、光沢感のあるドット柄のコートのインナーやノーカラーのジャケットに仕立てることでバランスを取っている。大柄なハリ感のあるマキシムチェックのAラインコートは、柄を羽織っているような感覚が味わえそうだ。
ファンの多いパンツは、いかにもカラーらしい太めのノータック、ゆったりしたドレープを描くリブパンツ、やや太めのストレートの3種類。今シーズンはどのブランドでもリブパンツが多いが、カラーのそれは同じリブパンツでも同じに見えない不思議なバランスの妙がある。キーとなるカラーはベージュだが、グレー、ネイビー、ブルー、パープル、ワインレッド、グリーンをバランス良く配色している。レディースを2体だけこっそり入れたこと、ブランド10周年を自ら祝うスウェットシャツもトピックのひとつだ。
ショーの最初と最後の音楽は「The Sound of Silence」。サイモン&ガーファンクルの名曲だが、歌詞が難解で様々な解釈があり、今もなお活発な議論がなされている歌だ。明確なテーマを掲げないブランドなので特に意味はないのかもしれないが、内省的な詩と美しいメロディが阿部のクリエーションを代弁しているように思えた。
Text by Kaijiro Masuda(FASHION JOURNALIST)