アンドレアス・クロンターラー フォー ヴィヴィアン・ウエストウッド(Andreas Kronthaler for Vivienne Westwood)は、2023年春夏コレクションを発表した。
今季は、クリエイティブ・ディレクターのアンドレアス・クロンターラーがふと見上げた“パリの空”から着想を得た。文化と密接な繋がりを持つ都市であるパリには、過去から現在、未来へと脈々と築かれてきた歴史への大きな敬意が常に存在している。コレクションからは、古いものと新しいものを組み合わせ、歴史的な文脈を踏まえて新たなクリエーションを行っていくアンドレアス・クロンターラーと、パリという街の“共鳴”を感じとることができるだろう。
従来のアンドレアス・クロンターラー フォー ヴィヴィアン・ウエストウッドのコレクションと同様に、今回もデッドストックの生地をメインに採用。新しい素材は、スティーブン・ウォルターズ社のブロケードと、星のついたシルクジャカードのみだという。
艶やかなラテックスのドレスやジャケットをはじめ、褪せたような色味のチェックブルゾン、幾何学的なモチーフとクラシカルな花柄を組み合わせたプリント地のタンクトップやドレスなど、多彩な素材使いが印象的だ。
また、異なる編地を組み合わせたラメ入りニットのミニドレスや、リボン、フリルなどの装飾を施しイノセントな愛らしさを見せるニットトップスなど、ニット地を使ったルックも散見された。赤一色で緩やかに仕上げたアシンメトリーシルエットのニットのセットアップや、クロシェ編みニットのコンパクトなトップスなど、表情豊かなニット表現が見て取れる。
ルネッサンス風の佇まいも特徴的なポイント。格子状の装飾と緩急をつけたバルーンスリーブのニットに、贅沢な分量感のフリルスカートを組み合わせたドレスルックをはじめ、袖に分量を持たせ身頃にプリーツを施すことで中世の雰囲気を漂わせたジャケット、コルセットを彷彿させるレースアップディテールのブラウス、ドレスなどが登場している。
パワーショルダーのケープにバルーンパンツを組み合わせたルックは、コルセットとガーターベルトをあえて表に出すことで、コケティッシュなアクセントを効かせている。
アイキャッチなのは、布地の質感を生かしダイナミックな造形に仕上げたルック。布地をたっぷりと使用し、ふんわりと大きく曲線を描くように仕上げたガウンとドレスは、生地の持つ艶やかな光沢も相まってラグジュアリーなシルエットに。また、部分的にギャザーを寄せ、動きを付けた構築的なグレーのワンピースやレトロな風合いのプリントサルエルパンツ、タイトなビスチェを組み合わせてシルエットに緩急をつけたホワイトのドレス、布地を幾重にも重ねたヘッドピースなども目を引いた。