ホワイトマウンテニアリング(White Mountaineering) 2014-15年秋冬コレクションのテーマは「DAWN」。テーマの通り、夜明けをイメージしたというコレクションでは、ダークトーンからネイビー、グレーなどを経て、レッドを基調としたカラーリングへと移り変わってゆく。
そんな夜明けのイメージの中では、日が昇る前の「夜」にあたるのかもしれない。前半のダークトーンでまとめたスタイルは、2014年春夏コレクションから続くBLACKシリーズ。アウトドアを軸にしたブランドらしい、高すぎるほどの機能性、そしてハイテクな素材感を持ったウェアが続いた。それは裏を返せば、街着にはふさわしくない、といった意味にも近くなるのだけれど、ソリッドなデザインとシックなカラーのおかげか、不思議とシャープな印象に。デイリーウェアとして違和感を感じさせないこのあたりのさじ加減は、ホワイトマウンテニアリングの真骨頂だ。
その一方でメインラインは、英国トラッド調のリラクシングなカジュアルスタイルになった。ストライプ、多様なチェック柄にフェアアイル柄……。アイテム一つ一つには、そんなトラディショナルな要素がたっぷり。しかしシルエットやアイテム合わせによって、ベーシックながらもしっかりとモダンな印象に仕上げている。ほどよいアウトドア感を持ったアイテムも所々ポイントで差し込まれていたりと、ブランドのアイデンティティもじわりと滲ませた。
そして終盤を飾ったのがレッド、それも朝日顔負けの目の覚めるようなレッドだ。こちらのビビッドカラー×ハイテク素材も「いかにもアウトドア」な印象に陥りがちだけれど、ほかをカジュアルかつ落ち着いたトーンでまとめることで”本格派っぽさ”をセーブ。もしくは、カジュアルスタイルのポイントとしてアウトドアの要素を取り入れた、という感じだ。
今期のピースは、過去に比べるとよりリアルクローズに近くなっていた。バランスの良いデザインと機能性を持ち、そしてあくまでベーシック。そんな新たな方向性を示すかのようなコレクションは、2006年に始まり海外ショーも経験した東京ブランドの、ファンの波を大きく広げる可能性を秘めている。