パコ ラバンヌ(paco rabanne)の2023-24年秋冬コレクションが発表された。
今季のパコ ラバンヌは、“無意識から湧き出る夢のような白い空間へと湧き出るアイデア”を表現。パコ ラバンヌ創始者のパコ・ラバンヌや作家のサルバドール・ダリの影響を受けており、1920年代に起こった、あらゆる手段で思考を表現しようとしたシュールレアリスムの精神のように、クリエイティブディレクター・ジュリアン・ドッセーナは自分の考えを、色、形、ボリューム、動きなどを通してコレクションという形で現実世界に提示した。
コレクション全体を通して、スタイリッシュで直線的なシルエットに、工夫を凝らした素材を合わせたルックが散見された。例えば、毛足の長いウールを使用したニットは、ラメが入っているかのようなメタルメッシュ加工を施すことで、重厚感のある艶やかな風合いに仕上げている。
また、強弱のついたルックも提案。淡いパープルのドレスやオレンジのドレスは、デコルテを結ぶことで上半身を細身に仕上げる一方で、スカート部分にはドレープを作り、下にいくにつれて広がるシルエットに仕上げた。直線的なシルエットが控えめながらも女性らしさを強調。同時に、アクセサリーで細部を彩ることで、官能的な雰囲気を強めている。
胸元やお腹部分をカットしたワンピースには、《降りてくる夜の影》(1931年)や《Sun-Table》(1935年)といった、サルバドール・ダリの絵画作品をプリント。歩く度に生地が揺れ動き、直線が曲線へと変わり様々な表情を見せる。
このほか、メタリックな装飾を散りばめたウェア、バッグ、シューズも見逃せない。アクセントとしてワンポイントで際立つ煌びやかなニットや、全身がクリスタルのように輝きを放っているドレス、持ち手からボディまで光沢のあるバッグなど、アイテムごとに多彩な表情を見せている。ショーの最後には、パコ ラバンヌのこれまでの歴史を表現するかの如く“無機素材を鎧のように組み合わせた”アーカイブドレスを着たルックが登場し、フィナーレを飾った。