ラッド ミュージシャン(LAD MUSICIAN)の2014-15年秋冬コレクションが発表された。ショーの招待状には、1人の青年の白黒の顔写真と“Minimal Art Rock 13”の文字。2013年にこの世を去ったミュージシャンのルー・リード(Lou Reed)の若き日の写真と亡くなった年を表わしたもので、今季はこのルー・リードと彼が1965年から70年まで活動していたバンド「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド(The Velvet Underground)」にインスピレーションを受けている。
ブラック&タートルネックを好んで着た彼らのスタイルと、太陽の光を嫌う彼らの歌のフレーズから着想を得た為に、肌の露出を抑え、ブラックを中心としてダークトーンのコレクションに仕上がっている。
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドは、ポップアートの旗手、アンディ・ウォーホルと強い繋がりを持つ。彼らはアンディ・ウォーホルのシルバーファクトリーの常連でもあった。1966年頃、彼らがおこなっていたライブイベント「エクスプローディング・プラスティック・イネヴィタブル」では、音やダンスに加え、ストロボフラッシュライトや映像を流すなど視覚効果を複合的に使っていた。今回のラッド ミュージシャンのショーにもフラッシュライトの演出が使われ、エクスプローディング・プラスティック・イネヴィタブルの公演に登場したスポットライトの効果はシャツやプルオーバーのドット柄に落とし込まれている。
ブラックをメインカラーにしながらも、ネイビー、ネイビーグリーン、ダークグレー、ブラックパープルなど微妙にニュアンスの違う様々なダーク トーンの表現にも注目。衿を立てた状態でも着られるスタンドカラーを意識したデザインのジャケットやコート、シルバーファクトリーから着想され本銀のラメ糸で製作されたスーツ素材やシャツ地、カットソーのアイテムもダークトーンの中でアクセントとなっている。オリジナルのハイビスカス柄のモヘアジャカードニットは、言わずもがな、ウォーホルの「花」シリーズよりイメージ。また、キャップに刺しゅうされた「HEROIN」は彼らの1stアルバムに収められた曲のひとつで、ショーのフィナーレにも使われた。
今回、1965、66年にデビュー当時のルー・リードらを撮影したアダム・リッチー(Adam Rtchie)とコラボレートし、彼の撮った貴重な記録写真をTシャツのグラフィックとして使用。若き日のルー・リードとヴェルヴェット・アンダーグラウンドへの哀惜の念をディープに描いたコレクションとなった。