1995年、黒田雄一によりラッド ミュージシャンが設立。
ラッド ミュージシャン(LAD MUSICIAN)は、日本のメンズファッションブランド。デザイナーは黒田雄一が務める。基本コンセプトは「音楽と洋服の融合」であり、音から得た不可視のインスピレーションを洋服という有形のものへと落とし込んでいる。
最高級のウールギャバをはじめとする上品な生地感、端正で直線的なラインで作られるジャケットやスラックスを筆頭に、ロックムードを漂わせつつもミニマルかつモードなコレクションを展開。細身で洗練されたシルエットは、それ自身音楽的な響きを湛えながらも、あくまで着用した際の着心地の良さという身体感覚に基盤を置いている。
あるいはオーバーなサイズ感のアイテムでも、生地のハリないしドレープ、スリーブの計算された量感ゆえにルーズな印象は払拭され、冷ややかかつモードな雰囲気へと昇華されている。
過去には、「ヴァンパイア」(2010年秋冬)や「ドリアン・グレイ」(2011年春夏)に見られるようにインパクトあるテーマを掲げたコレクションを発表してきた。しかし1つのテーマに沿ってコレクションを作り込むことに疑問を覚え、2011年秋冬シーズンにはブランドの根底にある「MINIMAL ART ROCK」という3つのワードをもとに、素材や質感、デザインのブラッシュアップに重きを置いた製作を行う。以後、音楽のみならず、フランスの批評家ロラン・バルトの『美術論集』といった書物(2018年春夏)や東洋・西洋哲学(2019年秋冬)などに着想を得て、コンセプチュアルに響くテーマを独自のミニマルなスタイルへと転化しているようである。
カラーリングはブラックやホワイト、グレーを中心に、シーズンによってはダークグリーンやグレーのかかったパープルなど、いずれも暗く落ち着いたトーンで構成される。その一方で、スーツやシャツ、カットソーに描かれる、毒気を含んだように色鮮やかな花柄もまた大きな特徴。また、サイ・トゥオンブリーやアンディ・ウォーホルといった美術家に着想を得たものをはじめ、アーティスティックなグラフィックも印象的である。
2021年現在、東京では原宿、新宿、渋谷の3店舗を構えるのに加え、名古屋・栄、大阪・梅田、福岡にも直営店を構える。
1995年、黒田雄一によりラッド ミュージシャン設立。
1998年、東京・代官山に初の直営店をオープン(2020年6月に閉店)。
2005年、ギターメーカーのフェンダーユーエスエー(FENDER U.S.A)とコラボレーション。以後継続的にタッグを組む。
2009年、旗艦店の新宿店をオープン。
2011年秋冬シーズン、黒田自身が“もっともシンプルで普遍的なテーマ”だと語る「MINIMAL ART ROCK」を掲げたコレクションを発表。なお、このシーズンでは、デビュー以来続けてきたショーやインスタレーションでのコレクション発表に代わり、映像や音楽と合わせてライブで発信するという新しい表現を企画していたものの、3月の震災の影響のため見送りとなった。
2011年、渋谷店をオープン。
2012年秋冬シーズン、コレクションの映像をライブ配信。
デザイナーの黒田雄一は、東京出身。エスモードジャポンを卒業後、ニューヨークに渡りウエディングドレスの製作を手がける。帰国後、舞台衣装のデザインやポスターなどの作成などを経験し、1991年にフラワーズを設立。
音楽への造詣も深く、その関心はデザインやコレクションの演出にも反映されており、例えば2010年春夏のショーでは、フーディ姿にギターケースを背負ったモデルが舞台上に並ぶ演出を手がけた。