タカヒロミヤシタザソロイスト.(TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.)の2025年秋冬コレクションが発表された。
2025年春夏シーズンのコンセプト「洋服の着方を正す」を引き継いだ、今季のタカヒロミヤシタザソロイスト.。先シーズンと同様、ブリティッシュなテーラリングを軸としたコレクションは、「THE BLACK -AND- WHITE REALISM」という今季のタイトル通り、ブラックをベースにホワイトのアクセントという、極めて研ぎ澄まされた佇まいを示している。
「洋服の着方を正す」という言葉から窺うことができるように、コレクションは、構築的・クラシカルといった要素を基調としている。ショールカラージャケットや、ラペルを光沢のあるファブリックで切り替えたダブルブレストジャケットは、直接的にドレッシーなタキシードを彷彿とさせる。これらのテーラードジャケットを筆頭に、プリーツを施したシャツ、Vゾーンに華やぐリボンなど、クラシカルな要素が底流しているといえる。
テーラリングにとどまらず、存在感あるウェアの数々は、ブラックに統一される。ダマスク柄をワントーンのジャカードで織りあげた、ベルベットのシングルブレストジャケット。底光するような、レザーのロングコート。タキシードのようにショールカラーで仕上げた、パファーベスト。ケープ付きのロングコートやニットガウン。それぞれに多彩な質感を持ちながらも、張り詰めたようなブラックへとまとめられている。
先シーズンのタカヒロミヤシタザソロイスト.は、「洋服の着方を正す」ことを念頭に置きつつ、「そう簡単に着やすくはさせない」という思いを反映した。これと呼応するようにして、今季は、1980年代ロンドンで見られた少年のように着崩すスタイルを頭に置きつつ、クラシカルなスタイルを組み立てたという。クラシカルさという成熟に対して、「大人になんかならない、なりたくない」という未成熟を隣りあわせ、どこかシニカルに笑う姿勢を、そこには透かし見ることができるだろう。
こうした着崩したスタイルは、クラシカルな装いにおける細部によく見て取ることができる。シャツの裾には、ボディスーツを解体したかのように曲線的な裾で仕上げ、気怠くタックアウトする。シャープなテーラードジャケットに組み合わせている、過度に短く設定したショートパンツも、折り目正しいスラックスのイメージをぐらつかせる。あるいはシャツには、「卒業アルバムの寄せ書きのような落書き」を彷彿とさせるプリントを施し、端正さを脱臼するのだ。