トキオ(tokio)の2025-26年秋冬コレクションが、東京コレクション会期中の2025年3月19日(水)、東京・青山のスパイラルホールで発表された。テーマは「I'm STRANGER」。
トキオは、2021年春夏シーズンより木村登喜夫がスタートしたメンズファッションブランド。自身のルーツである音楽をはじめ、さまざまなカルチャーから着想を得て、"まだ見ぬものへの興味"を体現した洋服作りを行なっている。
ブランド初のランウェイショー開催となる今季。クリエイションの核としたのは、鳥のように羽ばたく"自由な精神"だ。ショー前に配られたコレクションノートには「僕らは未開の部族。ピカピカでキラキラな人生の旅を始めよう。」と記されており、その言葉からも前向きでエネルギッシュなムードが感じられた。
ショーは、迫力あるバンドの生演奏とともに開幕。まず注目したいのは、洋服のバリエーションの多さだ。「僕は好きなものが多いので、そのごちゃ混ぜの世界観を楽しんでもらえたら。」そう木村が語るように、クラシックなテーラードから、迷彩柄のミリタリー風のセットアップ、ヒッピーなムードの花柄フレアパンツ、パンキッシュなスタッズ付きジャケットまで、ジャンルを問わず多彩なピースが提案された。
様々なスタイルが披露される一方で、一貫してヴィンテージのムードが流れていたのも印象的だ。その鍵を握るのが、歩みとともに柔らかく揺れるフリンジ。ネルシャツやデニムパンツ、カーディガンなどにあしらわれ、コレクション全体に温かく親密な雰囲気をもたらしていた。
秋冬らしい、重厚な素材使いも特徴的だ。たとえば千鳥格子柄のベルベットブルゾンには、コーデュロイの開襟シャツとシアリングのパンツをセレクトし、ほっこりと温かなスタイリングに。このほかにも、ツイードのセットアップやなめらかなスエードジャケットなど、穏やかに身体を包み込む素材のピースが散見された。
"ごちゃ混ぜの美学"は色柄のレイアウトにも宿っている。パンキッシュなボーダーニットにマドラスチェックのシャツを忍ばせ、さらに軽快なウィンドウペンチェックのパンツを合わせたルックがその好例。プレイフルなパターンをセットアップで重ねたり、あるいは異なる柄をミックスしながら、遊び心のあるスタイリングを叶えた。