ダンヒル(dunhill)の2025年秋冬コレクションが、2025年1月19日(日)、イタリアのミラノにて発表された。
ダンヒルが今季着目したのが、イギリスで1930年代に登場した「イングリッシュ・ドレープ・スーツ」だ。王侯貴族を顧客に抱えたロンドンのテーラー、フレデリック・ショルティによって発表されたこのスーツは、テーラリングの端正さを保ちつつ、スリーブやチェストなどにドレープを持たせることで、華やかで立体感あるフォルムを生みだすものであった。
力強い構築性を示すテーラリングは、シングルブレストやダブルブレストのジャケット、チェスターコートやバルカラーコートなどにおいて、豊かに展開されている。素材や柄もまた多彩であり、滑らかなキャメル、艶やかなベルベット、畝感のあるツイードなど、温かみのあるファブリックを随所に取り入れるほか、ウィンドウペン、ガンクラブチェック、グレンチェックなど、チェック柄も数多く採用し、クラシカルな雰囲気を醸しだしている。
こうしたトラディショナルな佇まいにコントラストを添えるのが、温かみのあるニットであり、存在感ある柄だろう。厚みのあるニットは、伝統的なステッチで編みあげて。時にウィンドウペンをのせて、アクセントを。あるいは、ベルテッドコートには大胆なペイズリー柄を、テーラードジャケットには小紋柄を取り入れている。
ダンヒルのアーカイブもまた、重要な着想源であり続けている。とりわけ、ブランドを象徴するアイテムであるカーコートは、カシミヤのライニングに高級感あるラムスキンを組み合わせることで、気品あふれる佇まいに昇華している、こうしたダブルフェイスの技法は、上質なカシミヤツイードを裏地に使用し、チャコールスエードで仕立てたブレザーにも見出すことができる。
端正なテーラリングばかりでなく、トラディショナルなスポーティさもまた、随所に見受けられる。伝統的なハンティング用の防寒コートであるローデンコート、キャルバリーツイルで仕立てたドライビングジャケットなどは、その例だ。また、裏地にシアリングを贅沢に採用した、艶やかなレザーブルゾンや、起毛感のあるスエードで仕立てたジャケット、太畝のコーデュロイパンツなど、豊かな質感をもたらす素材も、端正なスタイルにコントラストを添えているといえるだろう。