タム(Tamme)の2025-26年秋冬コレクションが、東京ファッションウィーク会期中の2025年3月22日(土)、東京・京橋で発表された。
玉田達也が手掛けるタムは、2021年秋冬コレクションよりスタートしたメンズブランド。「既存の更新」をコンセプトに掲げ、固定概念にとらわれない“多様性のある服”を提案している。
ブランドを語るうえで欠かせないワードとなるのが「ミックス感」。ミリタリーとテーラード、相反するこの2軸を掛け合わせつつ、素材やギミックを駆使して新しい見せ方を探求しているのが特徴だ。
今季はいつにも増して、“新しい見せ方”のバリエーションが豊富であったように思う。まず注目したいのは、テーラードの多彩な解釈だ。フォーマルなシャツにはMA-1ジャケットに見られるようなポケットやステッチが配されており、スラックスはカーゴパンツ風の立体ポケットでアレンジ。シングルジャケットも裾を切りっぱなしにすることで、ミリタリーウェアが持つような無骨な表情を見せている。
さらに今季は、テーラードにストリートやロックの要素を融合させたスタイルも披露された。ビッグサイズの真っ赤なニットに、チェック柄のシャツとタイを忍ばせたルックがその好例。パンキッシュなメタルチェーンやレザーキャップといった小物も登場した。トレンチコートは“超短丈”にカットすることで、ライダース風のシルエットに仕立てられていたのも印象的だ。
フォーマルの象徴とも言えるネクタイは、ねじり、歪ませることで気楽な雰囲気にスタイリング。首に締めるだけでなく、ジャケットの装飾としてぶら下げたり、手に引っ掛けたりと、アクセサリー的な使い方も散見された。柔らかなニット素材でアレンジしたものや、スタッズを配したデザインも登場し、コレクションにフォーマルな遊びをもたらしていた。
着る人によって見せ方が変わる、“余白を持たせた”服作りも垣間見えた。ほぼ全てのパンツのサイド、または膝部分にスナップボタンが配されており、それらを開閉することで自由なシルエットを提案。ジャケットもまた、裾がドローコードで絞れるようになっていたり、ベルトでフィット感を調整できたりと多彩なアレンジが施されている。