ウォルター ヴァン ベイレンドンク(Walter Van Beirendonck)の2025年秋冬コレクションが、2025年1月22日(火)、フランスのパリにて発表された。
ひまわり畑を異星人と散歩──「ニュー(NEW)」をテーマに掲げた、今季のウォルター ヴァン ベイレンドンクが思い描くイメージだ。秋冬シーズンにひまわりが咲くという矛盾、異星人と出会うという空想──夢の中のようなそんな奇抜さを、仕立ての技術や豊かな素材で衣服として具現化してゆく。
その一例が、テーラリングだ。シングルブレストのテーラードジャケットは、構築的なセットインショルダーに、長めの丈感。考えてみれば、テーラリングとは装飾性を削ぎ落として理想化された身体のイメージ物質化するものであったのだから、斬新な空想を衣服にするという今季のベクトルの核となるものだといえる。また、スラックスはサルエルパンツのようにボリュームを持たせ、ドレープ感を湛えた佇まいにまとめている。
テーラリングは、その構築ばかりでなく、豊かな造形性においても展開される。たとえば、ジャケットのサイドを解体し、レイヤードを引き立てたり、ストラップ状のモチーフをあしらったりと、デザイン性を強めている。また、ガンクラブチェックやグレンチェックといった格子柄も多く、ベージュやブラウンを基調としたシックなものもあれば、ブルーやオレンジのチェックを大ぶりにアレンジし、力強い存在感をもたらしている。
テーラリングに見られる立体感は、ほかにもクラシカルな、あるいはカジュアルなウェアにも反映されている。ラグランスリーブのロングコートは、厚みとハリのあるメルトンを採用し、誇張され、丸みを帯びたスリーブのフォルムを強調。また、ダンボールニットのように厚みのあるファブリックは、ハイカラーのフロントジップブルゾンに取り入れ、やはり立体感を引き立てている。
素材の豊かさも、見慣れたウェアに新鮮さをもたらす。ミリタリーブルゾンやショートパンツには、色気のあるヘアリー素材を。あるいは、テーラードジャケットやパンツには、起毛感のあるファブリックを採用することで、端正なはずなウェアにボリューム感と違和感を加えてている。
今季のイメージを反映するだろう、異星人モチーフも随所に見られる。ざっくりとしたプルオーバーニットに異星人をあらわすほか、全身を覆うボディスーツには、黒地に異星人の姿をあしらい、イメージを二重化。あるいはニットには、顔を思わせるような不思議なモチーフを大胆に表現するとともに、ブルゾンのスリーブには立体的なパーツをあしらい、違和感を引き立てた。