ホワイトマウンテニアリング(White Mountaineering)の2025年秋冬コレクションが、2025年1月25日(土)、フランスのパリにて発表された。
今季のホワイトマウンテニアリングが着想源としたのが、1950年代に現れた建築様式「ブルータリズム」。コンクリートや鉄筋コンクリートを用い、意匠性を抑えて無骨な佇まいを示すその建築は、モダニズムの原点にある機能主義に立ち返ることを目指すものであったといえる。
機能を重視し、素材の荒々しい表情を生のままに示すブルータリズムは、ファッションへと転換できる──そこに、今季のホワイトマウンテニアリングのひとつの軸がある。マウンテンパーカーやミリタリージャケット、キルティング入りのブルゾンやパンツ、ベストなど、活動的なシーンから生まれたウェアは、タフな光沢を示すナイロン素材を用い、随所にポケットをあしらい、さらに全体をブラックにまとめることで、着用時の機能性を打ち出したものだといえる。
その佇まいは簡潔だとはいえ、素材を適材適所に切り替えることで、リラクシングで、なおかつ立体感あるフォルムが作り出されている。ロング丈のパーカーなどには、アースカラーのファブリックを巧みに組み合わせて構成。軽やかな仕立てのテーラードジャケットも、大胆なラグランスリーブに読み替えることで、堅苦しさを払拭した。さらに、幾何学的なモチーフは、それを反復することで、ウェア全体にアクセントを添えるデザイン性へと転換されている。
さて、ホワイトマウンテニアリングにとって、ブルータリズムとは単に簡潔な機能主義であるばかりではない。造形物を無骨に、簡潔に仕上げることで、それを取り囲む環境の色や形が、逆説的に引き立てられるのだ。いわば、人工物と自然物のコントラスト。このコントラストはテイストや素材感、カラーなどに見て取れる。たとえばテイストに目を向ければ、ソリッドなテクニカルウェアが軸でありながら、温かみあるフォークロア調のニットなどを取り入れるなど、機能性と抜け感を共存させている。
人工物と自然物のコントラストは、素材やカラーにも広げられる。ナイロンやゴアテックス(GORE-TEX) ファブリックなど、機能的なファブリックを用いる一方、暖かなウール、色褪せた風合いのデニムなどを取り混ぜるほか、無骨なブラック、カーキやベージュといったベーシックカラーに、色とりどりのチェック柄、フォークロア柄を交えるなど、人工物が引き立てる自然の温かみを表現している。