ザ・リラクス(THE RERACS)の2024年春夏メンズコレクションが発表された。
今季のザ・リラクスの基底にあるのが、いわば1970年代頃に広がった、開放的な姿勢であるという。既存のシステムにとらわれない、自由さ。こうした開放的な雰囲気を、いかにクリーンな佇まいへと昇華することができるか。トラディショナルとカジュアルの均衡を、アイテム、フォルム、ディテール、あるいは素材を通して探ることが、ザ・リラクスの眼目であるといえる。
「自由」というキーワードは、まず、あるアイテムの多様な変奏にその反映を見て取ることができる。その例がテーラリングだ。シングルブレストとダブルブレスト、ノッチドラペルとピークドラペル、ノーカラーと、幅広いスタイルを取り揃えるばかりでなく、ジャケットやコートのように丈感もさまざま。さらに、ハリのある素材が生みだす構築的なシルエットを基調に、やや余裕を持たせたショルダー、すっと垂直に落ちるスリーブやストレートな身頃により、抜け感を吹き込んだ。
同様のことは、カジュアルなアイテムにも当てはまる。スポーティなルーツを持つハリントンジャケットは、スタンドカラーはやや外側へと広がるよう設計し、裾のゴムを排除。ハリのある素材で立体的なフォルムを生みだし、土臭さを払拭した。ジャケットに加えてノースリーブのベストにもアレンジするばかりでなく、奥行きのある色味と光沢を持つウール、粗野なニュアンスを持つコットンと、異なる素材でも展開している。
ダイナミックなフォルムを描くアウターに対し、ニットなどはすっきりと仕上げている。タイトなニットにはポロシャツのように襟をあしらい、逆にベストはVネックで仕上げるなど、首周りにもポイントを。さらに、ハイウエストのグルカパンツやグルカショーツ、ローウエストのストレートパンツ、リラクシングなイージーパンツ、ミニマルに仕上げたカーゴパンツなど、ボトムスにもバリエーションを持たせた。
上でジャケットの多様な展開についてふれたところからも明らかなように、素材はコレクションのエッセンスとなっている。精緻に構成されたウール素材が生みだすハリ感が、緊張を湛えた構築的なシルエットを叶えているのはその例だ。あるいはシャツには、トーマス メイソン(THOMAS MASON)による最上級のコットンやイージーケア性に秀でたポリエステルを採用し、Tシャツは光沢とハリのあるファブリックにより上品な雰囲気に昇華するなど、天然・人工・ハイブリッドの素材を適材適所に用いている。
カラーは、ブラック、グレー、ベージュ、カーキといったベーシックな色を中心に、そこに絶妙な差異を持ち込むような色調をプラス。大胆なシルエットのトレンチコートなどに用いた淡い色味は、ベージュとエクリュの中間とでもいうべき上品な階調を差し込み、あるいはブラックのように深みのあるダークグリーンも取り入れた。