いろいろありますが、やはり履き手の気持ちになって作ることでしょうか。そうすると自然と心がこもったものになりますし、履き心地や耐久性などにも配慮しますよね。自分にとって靴を作るということは、本質的に良いものを履いてもらう為に、時代との調和を図りながらデザインをすることだと思っています。
あとは作り手のこだわりやわがままを押し付けないこと。こだわりは醸し出さないと意味が無いと思っているので。
やはり第一印象は大事。お客様に手に取ってもらう意味でもそうなのですが、実際にお客様が購入して履いた時、その持ち主とすれ違う多くの人は、見栄えでしかその人の靴を評価出来ません。そうなると一瞬で違いが分かる“何か”がそこには必要。大事なのはそういった瞬間的な印象と、表には出づらいマニアックなこだわりを共存させること。さらにそこに履き心地や作りの良さの裏付けがあればきっと長く愛されると信じています。
当然ですが履き心地やフォルムを左右する木型とソールは最も大切な財産です。木型もソールも長い時間をかけて、充分に検証してから完成させます。
デザインを考えるときにさらに意識していることは、その靴自体のデザインはもちろん、コレクションで見たときに作品群としてどうなのか、また過去の作品と照らし合わせた場合にどう映るか。そういった連なりから生まれる表現がブランドの価値につながると思っています。
どうでしょう。自分たちが挑み続けている“クラシックと前衛の折衷”を少しでも感じてくれたらと思っています。
足は本来複雑な肉付きをしていて、それに沿うような靴を作るとなると木型もパターンも難しくなり、生産性も悪くなります。ただ丁寧に作れば履きやすい靴になるわけでもなく、甲皮や芯材など様々な要素が関係してきます。そのあたりのバランスが、センス良く組まれることが履きやすさにつながると思います。
好きなことを仕事にしていると、無駄な努力も無駄と思わないときがあって、無意味な創作で自分を追いつめたり周りに迷惑をかけてしまうこともある。そうならない為にも自分が発したデザインを俯瞰的に見直す時間と、意見をしてくれる周りのスタッフが大切。それでも時折そういったすべてのことを無視した衝動的なこともやる、そこのバランスが重要だと思います。
やはりフットザコーチャーのコレクションですね。毎回行う展示会は目標でもあり終わってしまえば軌跡になるので。常にアップデートする意味でも、締め切りのような状況は必要です。
フットストック オリジナルズはスタンダードシューズブランドです。シンプルさゆえに素材の良さが栄え、フォルムやステッチ等の細部に他との違いが感じられる。今期はユニフォームとしての靴、つまり多様化するビジネスシーンを意識して作りました。
時には戦いともいえる現場で、しっかりと足元を守りたいといった思いからアーミーテイストを盛り込み、堅牢さと合理的なプロダクト感を表現しました。新たな試みで旧態依然とした靴業界を少しでも変えていけたらと思っています。
新ブランド「フットストック・オリジナルズ」 - 堅牢なスタンダードシューズ
Interview and Text by Mikio Ikeda
【問い合わせ先】
GALLERY OF AUTHENTIC(ギャラリー・オブ・オーセンティック)
TEL:03-5808-7515