パリで発表された、3.1 フィリップ リム(3.1 Phillip Lim)の2015年春夏メンズコレクション。
「プレッピー」。これは1960年代、アメリカ東海岸の名門私立大学グループ、アイビー・リーグの学生たちに好まれた「アイビースタイル」が、さらに着崩されることで生まれたスタイルを指す。今季フィリップ リムは、このいわゆるお坊ちゃんのスタイルを題材に、その枠組みを取り払うことに挑戦した。そのためのキーとなったのが、ブランドのアイデンティティともいえる「ストリート」との融合。
トム・ブラウン(THOM BROWNE.)やバンド オブ アウトサイダース(BAND OF OUTSIDERS)を筆頭に、「プレッピー」の再解釈を試みたデザイナーは少なくない。けれど、このコレクションが特異であるのは、ほとんどアメリカの匂いがしないところだ。セットアップやスウィングトップ、マウンテンパーカーといったアイテムに、チェックやピンストライプといった柄、ショーツ×ホワイトソックスの組み合わせ。そんな「プレッピー」の象徴的なエッセンスを取り入れていながら、そのことを感じさせないのは、やはりシルエットの影響が大きいだろう。
トップスはオーバーサイズで、ボトムスは細身のテーパードパンツもしくは膝下丈のハーフパンツ。これがコレクションの基本となったシルエットだ。さらにブルゾンやトップスの肩を落とすなどして、全体的にルーズでたくましい印象を与えるのは、フィリップリムの得意とするところ。アイテムを個別に見てみると、フロントを重ねたジャケットなど、ユニークなものが多いことが分かる。
そして光沢感のある素材感もまた、絶妙なスパイスとなった。例えばピンストライプのブルゾンにグレンチェックのパンツ、ウェリントン型メガネといったトラッドの教科書的組み合わせには、インナーとしてシャイニーなカットソーを。ほかにもブルゾンをはじめとしたアイテムに光沢素材が使用されており、伝統的なアメリカントラッドに、未来的なイメージを持たせる試みがなされた。