4人組ロックバンド・ONE OK ROCKのTakaにインタビュー。2025年2月21日(金)より、最新アルバム「DETOX(デトックス)」が発売される。
ボーカルのTakaをはじめ、ギターのToru、ベースのRyota、ドラムのTomoyaからなる、日本を代表するロックバンド・ONE OK ROCKー。国内のみならず海外にも活躍の幅を広げ、2025年で結成20周年を迎える。
アルバム発売に先駆け、ONE OK ROCKのボーカルを務めるTakaにインタビューを実施。テーマ性の高い今作「DETOX」へ込めた想いから制作秘話、結成20周年を迎えるバンドについて、曲作りの方法や魅力、ミュージシャンとしてのポリシーまで、貴重な話をじっくり伺うことができた。
最新アルバム「DETOX」は、現代社会に向けたメッセージを詰め込んでいると伺いました。楽曲を通じて、Takaさんが伝えたいメッセージは何ですか?
Taka:僕は音楽を作るとき、何かしらのテーマを持っていないと作品が作れません。ミュージシャンとして、アーティストとして“何を表現して、何を伝えたいのか”、それが自分のポリシーであり、とても大切だと思っています。
この「DETOX」には、かなり社会的かつ政治的なメッセージを盛り込んでいます。今の混沌とした世の中に対して、1ミュージシャンとして自分たちができることを考えたとき、もっとピースフルで素敵な世界になるように、楽曲を通して問題提起したいと思いました。
そのような想いは、いつ生まれてきたのでしょう?
Taka:ONE OK ROCKは2025年で結成20周年、僕はもう37歳になるんですけど、最初は“怒りの感情”が原動力になって始まったバンドなんです。世の中のことは、怒りの矛先でしかなかった。
そんなバンドがたくさんの方に愛してもらえて、いろんな会場でライブをさせてもらえて、昔抱いていた怒りが徐々になくなっていました。ワールドツアーを回っていることもあり、日本から見た世界や世界から見た日本など僕らが感じたものを、メッセージとして投げかけることが大事なのではないかと。
ワールドツアーのような経験を経て、今、感じていることを教えてください。
日本って閉鎖的な部分もありますが、素晴らしい文化を同時に持っていて、その素晴らしさをもっと発信した方が良い。そして日本っていう国をもっとより良くするために、自分としてはこのバンドを通じて、ここから先は貢献できたら良いなと思っています。
あとシンプルに自分が年を重ねていくと、土台を綺麗にしない限りは何も始まらないことにも気づかされて。「DETOX」は、今あるベーシックを変えるための“自分の意思表示”のアルバムですね。
テーマ性の強いアルバムということで、制作でこだわった点はありますか?
Taka:今回アルバムを作る上で、40ページほどの本を1冊作りました。その本を「DETOX」に参加するプロデューサーやソングライター、監督も含めた全てのスタッフに読んでもらって、僕の考えに共感してもらえる人だけで制作しています。
よろしければ、何が書かれているか教えてください。
Taka:主に、日本とアメリカの戦後の歴史、日本の今の政治状況やそこに至った理由など、社会的な内容です。自分なりの解釈ではありますが、歴史をしっかりと紐解いて、僕が納得していない点、だからこそ伝えたい内容、アルバムのコンセプトまで強い想いを綴りました。
中でも、思い入れのある楽曲はどれですか?
Taka:アルバムの中で唯一、フィーチャリングしている「C.U.R.I.O.S.I.T.Y. feat. Paledusk and CHICO CARLITO」ですかね。僕が日本人、日本のバンドとして、世界に何か訴えかけるメッセージの1つの中に、“オールジャパニーズ”で行こうという思いがあったので。あえて日本のバンドと日本のラッパーとフィーチャリングしました。
バンドを結成した当初から、海外進出は考えていらっしゃいました?
Taka:そうですね。元々日本でなにか結果を残すことは、あまり考えていませんでした。やっぱり数々の先輩アーティストたちがすでにやりきっていることを僕らがやっても、結局2番煎じどころか、何100番煎じになってしまいますから。
僕らが10代から目指していたのは、いわゆる既存の用意されたシステムの中でもがくのではなく、自分たちが世界に出ることによって構築できる新しいシステムを作ること。
10代でそこまで考えられていたとは驚きです。
Taka: ONE OK ROCKのメンバーって、それぞれ特殊なバックグラウンドを持っているからじゃないかな。僕をはじめ、ベースのRyotaとギターのToruも小さい頃から芸能活動していたりとか…今の70代の人たちが作り上げてきたものに対して、どこかずっと嫌悪感があったんですよね。そういった世の中に対してのアンチテーゼが僕たちの大きな原動力になって、海外進出を見据えて活動するようになったのかもしれない。
今では世界を回れるアーティストって何組か出てきましたけど、僕らの時代はまずそこが難しいファーストステップでした。だから僕らをきっかけに世界を見るようになったり、日本の素晴らしい文化を発信していってくれたら嬉しいです。
海外進出の高いハードルをどのように乗り越えられましたか?
Taka:当時はやっぱりとにかく勉強、勉強でしたね。なんでもかんでもとりあえず一生懸命頑張っていたんですが、今振り返ってみると、それよりも大事なのは“情熱”だったのかなと感じています。
今の時代って、情熱や強い思いがなくても認められやすい気がしていて。むしろSNSやAIが普及して、なかなか頑張ることの意味も見つけられなくなりつつある。でも何かを始めたり、挑戦したりするときに、人間と人間がどれだけの距離があって、どれだけのカルチャーの違いがあったとしても、最後にそこを結びつけるのは“情熱”だと思います。人間しか持ってない喜怒哀楽の感情は、人を動かす力があるし、そういった熱意を持つことが、夢を叶えるにあたってすごく大切だと信じています。
改めて、結成20周年を迎えられて、率直にどのようなお気持ちですか?
Taka:本当にあっという間で、全然20年経った感じはしないです。ほぼ楽しくて、ほぼ大変だった気がします。努力したり、耐えたりすることの先に楽しみが待っていて、その楽しいことに慣れてくると、もう1回自分たちでチャレンジして上を目指していくことを繰り返していたら、年を取っていました(笑)。
バンドとしてのターニングポイントや印象深いエピソードをお聞かせください。
Taka:ターニングポイントは、大きく3つあります。1番目は、メンバーが1人抜けたこと、2つ目に独立したこと、3つ目は海外に出たことです。3つともONE OK ROCKにとって、すごく大きな起爆剤になったと思っていて。全部に共通していえるのは、“何かを得るために何かを失っている”ということ。その度に自分たちにエンジンをかけて、頑張って歩んできましたね。
バンドメンバーとの関係性に変化はありますか?
Taka:全くないです。ずっと親友であり、家族であり、メンバーですね。
すごく仲のいい印象があります!
Taka:はい、めちゃくちゃ仲いいですよ(笑)。喧嘩とかもしないです。
20年間揉めないって珍しいですよね。
Taka:その代わりに、外では喧嘩します。「ふざけんな!こんなことやりたくねえ!」とか(笑)。納得いかないことはとことん納得いかないって主張してみんなで進んできたので、メンバー内はそんなに揉めることはない。
メンバー間で同じ方向を見ているというのは、ずっと変わっていないのですね。
Taka:本当にお父さんがいて、お母さんがいて、長男がいて、次男がいるという感じ。上手いチームワークでやってます。